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「無料」「実質無料」は景品表示法上使える?条件表示と有利誤認の注意点

『無料』や『実質無料』という表現を用いる際、景品表示法上の有利誤認を避けるために確認すべきポイントを図解したもの。何が無料か(対象範囲)、条件はあるか(継続契約など)、いつ0円になるか、最終的な費用負担(追加料金・送料など)をセットで確認し、申込から支払い、条件達成、還元までの費用の流れを把握することの重要性が示されている。

「初月無料」「相談無料」「工事費実質無料」「30分無料」などは広告では強い訴求になり、「無料」「実質無料」という表現自体も景品表示法で禁止されているわけではありません。

実際の取引条件と一致し、無料になるための条件が消費者に分かる形で正確かつ明瞭に伝わる表示であれば、一律に禁止されるものではありません 。

反対に、追加料金や継続契約が必要なのに無条件で0円のように見せる、後日のキャッシュバックを「無料」と見せる、無料になる条件を離れたページだけに記載する表示はNGです。

この際、景品表示法で主に確認していくのは、有利誤認です。この記事では「無料」という単語だけではなく、広告全体から消費者がどのような費用負担・取引条件だと受け取るかを確認する際の注意点についてまとめていきます。

目次

「無料」は本当に費用負担がなければ使える

結論からいうと、広告で無料と示している対象について、本当に消費者の費用負担がなく、別途重要な条件も隠していなければ「無料」という表現に問題はありません。

たとえば「相談料無料」と表示し、相談を受けるだけなら料金が一切発生しない。この表示自体に問題はありません。

一方、

「30分無料」

と表示しながら、実際には60分以上利用した場合だけ30分相当が無料になるのであれば、無条件で30分利用できるように見せてはいけません。

消費者庁も、60分以上の利用を条件として30分無料になるサービスについて、条件を明示せず単に「30分無料」と表示する例を、インターネット広告で問題となる表示として示しています。

景品表示法の有利誤認では、価格その他の取引条件について実際より著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示が禁止されています。

景品表示法の基本的な考え方は「優良誤認・有利誤認とは?」をご覧ください。

事例1:「30分無料」だが60分以上の利用が条件なら、条件を隠せない

「30分無料」を強調するオンライン相談サービスの広告例。実際には60分コースの申し込みが条件であるにもかかわらず、無条件で30分間無料で相談できるかのように誤認させる表示になっており、景品表示法における有利誤認のNG事例として紹介されている図。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえばオンライン相談サービスで、

「今なら30分無料!」

とLPのファーストビューに大きく表示したとします。

ところが実際には、60分コースを申し込んだ人だけが30分相当の割引を受けられる仕組みだった場合は、無条件で30分間利用できるように見える広告はNGです。

「30分無料」という計算自体が間違っていなくても、無料になるためには60分以上の契約が必要となるためです。その重要な条件を伝えず、0円でサービスを試せるように見せれば、実際の取引条件と広告から受ける印象が一致しません。

修正するなら、

「60分以上のご利用で30分相当無料」

など、何をすれば無料になるのかを主たる表示と一緒に伝えます。

また、ページ最下部にだけ「※60分以上の利用が条件です」と置けばよい、という話でもありません。無料表示を見た場所で重要条件を理解できるかを確認します。

消費者庁も「送料無料」と強調しながら、無料地域の条件を目立たないリンク先だけに示す例では、条件のない送料無料と誤認される場合があるという考えを示しています。

No.1、口コミ、価格、限定表示を含むLP全体のチェック方法は「LPの景品表示法チェック|No.1・口コミ・価格・限定表示の注意点」でまとめています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
「無料の横に注釈を追加してください」という修正だけでは、元の訴求が何を意味しているかを整理できていない場合があります。
最初に広告主へ確認したいのは、「何が0円なのか」「無料になるために何を購入・契約する必要があるのか」です。
条件が分かれば、「無料」を削る以外にも、無料になる範囲と条件をセットで表現する方法も検討できます。規制対応は強い言葉を消す作業ではなく、事実として説明できる形へ設計する作業です。

事例2:「初月無料」でも2か月以上の契約が必要なら継続条件まで確認する

健康サポートサービスの広告LPにおける有利誤認のNG事例。大きく『初月無料!』と掲げながら、実際には2か月以上の継続利用が条件である旨を小さく記載しており、消費者に『1か月のみ無料で試せる』と誤認させるおそれのある表示例。
※自社で作成したイメージ画像です

月額5,000円のサービスについて、

「初月無料!」

と表示し、実際には2か月以上利用することが条件だったとします。

初月分が本当に0円であるとしても、「無料で1か月だけ試せる」と受け取られる表示にしてはいけません。

消費者庁の景品規制Q&Aでは、2か月以上の利用を条件に1か月分の料金を無料とする仕組みについて、少なくとも2か月分の料金合計から1か月分を値引くものと捉え得ると整理されています。

これは景品類に当たるかという別の論点ですが、広告表示を考える際にも「無料になる1か月だけ」ではなく、利用者が負担する契約全体を見る必要があります。

定期購入や継続契約であれば、

「初月無料・2か月以上の利用が条件」

など、無料の条件を明確にします。

通販の「初回無料」の場合は景品表示法だけでなく、特定商取引法上の価格、継続条件、最終確認画面の表示も別途確認が必要です。

詳しくは「『初回500円』『初回無料』は特商法上どう表示すべき?」でも具体的に解説しています。

事例3:「キャッシュバックで実質無料」は“今0円”という意味ではない

健康サポートサプリメントの広告LPにおける有利誤認のNG事例。大きく「今なら完全無料!」と掲げながら、実際には購入時に30,000円の支払いが必要であり、アンケート回答や定期コース継続などの条件を満たした後にキャッシュバックされる仕組みであるにもかかわらず、消費者に「一切の負担なく無料で入手できる」と誤認させるおそれのある表示例。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば商品代金30,000円をいったん支払い、一定条件を満たした人へ後日30,000円をキャッシュバックする企画で、

「今なら完全無料!」

と大きく表示したとします。

購入時に30,000円を支払う必要があるなら、「最初から一切の負担なく無料で入手できる」と受け取られる表示は有利誤認となるおそれがあります。

「実質無料」を使う場合も同じです。

キャッシュバックに申請が必要なのか、申請期限があるのか、対象プランへの契約が条件なのか、途中解約すると対象外になるのか。こうした条件によって、消費者が最終的に負担する金額は変わります。

したがって、

「条件達成で30,000円キャッシュバック。実質0円」

など、0円になる仕組みと主要条件が分かる設計にします。

「実質」という一語を加えれば、複雑な条件を小さく隠してよいわけではありません。有利誤認は広告全体から受ける取引条件の印象で判断されます。

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 

「無料」と「実質無料」は制作上、分けて管理したほうがいい表現です。

前者は本当に請求が発生しないのか。後者は一度支払うのか、ポイントやキャッシュバックで相殺するのか。その時点で必要な根拠資料が変わります。

「最終的には同じ0円だから」と同じコピーとして処理すると、購入時の負担や条件が抜けてしまいます。申込時から特典付与までのお金の流れを一度図にすると、広告で何を伝える必要があるかが見えやすくなります。

事例4:「無料キャンペーン」を期限後も続けるなら限定表示もNGになる

健康サポートサプリメントの広告LPにおける期間限定表示のNG事例。2024年8月10日時点の「8月31日まで初回送料無料」という表示と、9月15日時点の「9月30日まで初回送料無料」という表示を並べ、実際には恒常的に同じ条件で販売しているにもかかわらず、期間限定であるかのように誤認させて購入を急がせる手法を解説した図。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、サプリメントの広告で、

「8月31日まで初回送料無料」

と表示していたにもかかわらず、9月以降も同じ送料無料の条件で販売していた場合はどうでしょうか。

期限内に申し込んだ場合だけ送料が無料になるかのように見せて購入を急がせながら、期限後も同じ条件が続いているのであれば、景品表示法上問題となるおそれがあります。

この場合、「送料0円」という事実そのものが問題なのではありません。

実際に確認するのは、

「送料0円なのは本当か」
だけでなく、
「8月31日までに申し込んだ場合だけ送料0円になるのも本当か」

という点です。

実際には期限後も同じ送料無料の条件が続くのに、「8月31日まで」と表示すれば、一般消費者に「今申し込まなければこの特典を受けられない」と認識させる可能性があります。

そのため、期間限定の無料特典を表示するときは、無料という条件の真実性だけでなく、その特典が本当に表示した期間だけのものなのかまで確認する必要があります。

なお、健康食品では、こうした価格・特典表示とは別に、効能効果等の訴求は別途、健康増進法・景表法・表示内容によっては薬機法の確認も必要です。

定期購入LPを複数法令から確認する方法は「健康食品の定期購入LPで注意すべき特商法・薬機法・景品表示法|効能訴求・初回価格・解約条件の確認ポイント」で詳しくまとめています。

「無料プレゼント」は有利誤認とは別に景品規制も確認する

「商品Aを購入すると商品Bを無料プレゼント」という企画では、さらに別の論点があります。

「無料」と表示できるかという有利誤認の問題と、無料で提供する商品Bが景品類に当たるかという景品規制は分けて確認します。

景品表示法上、顧客誘引のため、商品・サービスの取引に付随して提供する物品や金銭その他の経済上の利益は「景品類」に該当する場合があります。

一方、正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益などは、景品類に当たらない場合もあります。

したがって「無料プレゼント」というコピーについて、

「本当に無料か」

「景品の上限規制を確認すべき企画か」

を混同しないことが大切です。

景品規制については「景品表示法の景品規制とは?懸賞・抽選・キャンペーン・プレゼント企画の基礎を解説」でまとめています。

実務では「無料になる条件」を先に一行で説明できるようにする

広告制作前に、

「誰が」
「何をしたら」
「何の料金が」
「いつ」
「どのような方法で0円になるのか」

を整理します。

ここを一行で説明できなければ、「無料」という大きなコピーだけ先に作らないほうが安全です。

その後、LP、バナー、申込画面、料金表、キャンペーン規約を見比べ、条件が一致しているか確認します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
社内チェックをするなら、「無料という言葉を使っているか」という項目だけでは足りません。
「別途費用はないか」「継続契約は必要か」「キャッシュバックの条件は何か」「期限後も同条件ではないか」という形でチェックリストにします。チェックリスト化することで制作時の手戻りを減らすことも可能です。
無料表示も、禁止ワードを覚えるより条件を分解して確認できる仕組みを作った方が運用しやすくなります。

まとめ

「無料」「実質無料」は景品表示法上、一律禁止ではありません。

実際に広告どおりの負担で利用でき、無料になるための重要な条件を消費者が理解できる形で表示していれば使えます。

一方、

「30分無料」だが60分利用が条件
「初月無料」だが継続契約が必要
「完全無料」だが一度代金を払い、条件達成後にキャッシュバック
「今だけ無料」だが期限後も同じ条件

といった実態を隠し、無条件・無負担であるかのように見せる表示はNGです。

景品表示法上の確認では、「0円という計算が合っているか」だけでなく、消費者が広告から理解する取引条件と、実際の費用負担・契約条件が一致しているかを見てください。

優良誤認・有利誤認の基本的な違いについては「優良誤認・有利誤認とは?景品表示法の不当表示を広告実務者向けに解説」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料・関連資料を参考に、「無料」「実質無料」「初月無料」「送料無料」「無料プレゼント」等の表示について、景品表示法上の有利誤認、インターネット広告上の条件表示、キャッシュバック・値引、景品類該当性および限定表示との関係を整理しています。
個別の広告表示の適否は、何が無料になるのか、継続契約・購入条件の有無、送料・追加料金、支払時期、キャッシュバック・ポイント還元の条件、キャンペーン期間、表示位置、広告全体から一般消費者が受ける印象などにより判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

『無料』や『実質無料』という表現を用いる際、景品表示法上の有利誤認を避けるために確認すべきポイントを図解したもの。何が無料か(対象範囲)、条件はあるか(継続契約など)、いつ0円になるか、最終的な費用負担(追加料金・送料など)をセットで確認し、申込から支払い、条件達成、還元までの費用の流れを把握することの重要性が示されている。

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