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医療機器広告で「治る」「治療する」は使える?効果保証表現の薬機法上の注意点

医療機器広告における『治る』と『治療する』の表現の可否について解説する図。左側に『医療機器広告で「治る」「治療する」は使える?』というタイトル。中央に『治る』の禁止事項(結果の断定、効果保証)、右側に『治療する』の注意点(承認・認証範囲の確認、正確な対象・結果の表示)が示され、下部に『単語ではなく、対象・範囲・広告全体で判断』という重要ポイントが記載されている。

医療機器の広告でも、「治る」は原則として使えません。承認・認証された使用目的または効果に疾病や症状の治療が含まれていても、「治る」と断定すると、使用者や症状の違いにかかわらず結果が得られるとの効果保証になるためです。

一方、「治療する」という表現は一律に禁止されるものではありません。 広告対象製品について、承認・認証された使用目的または効果に当該治療が含まれ、その範囲を正確に示している場合は使用できる余地があります。

ただし「この機器で治療するから病院は不要」など、治癒の保証や医療機関の代替まで伝えればNGです。

実務では、「治療」という単語があるかではなく、何を、どこまで治療すると伝えているかを確認します。

目次

「治る」はNG、「治療する」は承認範囲内に限られる

医療機器広告における結論は、次のように分かれます。

「治る」「完治する」「治癒する」「これで病気が治せる」は、効果が確実に得られると保証する表現です。原則として使えません。

「治療に使用する」「○○の治療を目的とした医療機器」「家庭で○○を治療するために使用する」は、当該治療が承認・認証された使用目的または効果に含まれていれば、使用できる場合があります。

ただし、承認等を受けた内容が「疼痛の緩解」「筋肉痛の緩解」「血行促進」である製品について、「腰痛を治療する」「肩こりが治る」と広げることはできません。

医療機器であることと、あらゆる疾病を治療することは別です。

「治る」が効果保証表現としてNGになる理由

「治る」は、効能効果を保証する表現に当たるため、広告で使用することはできません。

薬機法第66条では、医療機器の効能・効果・性能について、虚偽または誇大な広告を禁止しています。また、医薬品等適正広告基準では、効能効果が確実に得られると受け取られる表現を認めていません。

「治る」は、単に製品の使用目的を説明する言葉ではありません。

一般消費者は、「この製品を使えば症状がなくなる」「期待した治療結果が得られる」と受け取るため、効果を保証している表現と判断されます。症状の程度や原因、使用状況にかかわらず、結果が得られると断定することになるためです。

そのため、承認書に「治療」という言葉が記載されていても、「治る」と広告できるわけではありません。

「治療に使用する」と「治る」は意味が異なります。前者は承認された使用目的・効能効果の説明ですが、後者は治療結果を保証する表現となるため、広告に使用する場合には注意が必要です。

事例1:家庭用治療器で「肩こりが治る」

家庭用低周波治療器『Relieve Wave』のNG広告のバナー。女性が肩に機器を装着している様子とともに、『毎日10分で、つらい肩こりが治る!』というコピーや、満足度98.7%、1日10分使用、15段階の強さ調整といった製品特徴が記載されている。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、使用目的または効果として「肩こりの緩解」が認められている家庭用医療機器のLPに、次のコピーを掲載したとします。

「毎日10分で、つらい肩こりが治る」

この表現はNGです。

第一の理由は、「治る」が効果を保証しているため。「毎日10分」という使用条件と組み合わせることで、一定期間使用すれば結果が得られるとの印象がさらに強くなります。

第二の理由は、「肩こりの緩解」を「肩こりが治る」へ拡張していること。緩解は、症状をやわらげることを意味します。つまり、症状がなくなることまで認められているわけではありません。

修正する場合はまず、承認等を受けた表現に戻します。

「肩こりの緩解に」
「肩こりをやわらげる家庭用医療機器」
「1回10分、肩に装着して使用」

ここに、コードレス、操作方法、重量、収納性などの客観的な商品事実を加えれば、「治る」を使わなくても症状をやわらげる訴求を残すことは可能です。

なお「改善」も、対象製品に認められた使用目的または効果との関係から確認します。詳しくは「医療機器広告で『改善』は使える?」をご確認ください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
広告制作では、「治る」を「改善する」へ変えれば通ると考えがちです。しかし、承認された内容が「緩解」であれば、「改善」も広告全体によっては効果を広げていると考えられる可能性があります。
NGワードの言い換えから始めるのではなく、承認書や認証書に記載された使用目的または効果へ戻るべきです。そこで使える効果を確定してから、使用場面や商品仕様を組み合わせます。結局のところ、単語だけを直す方法では、LP全体のストーリーに同じ保証表現が残ってしまうのです。

事例2:家庭用低周波治療器の「自宅で腰痛を治療する」

家庭用低周波治療器『LUMBAR RELAX(ランバーリラックス)』の広告表現NG事例を示すバナー。ソファに座った男女が腰に機器を装着している画像とともに、『自宅で腰痛を治療する』『毎日のセルフケアを、自宅で手軽に』というコピーが記載されています。製品特徴として12段階の強さ調整、1回約15分、コードレス設計などが示され、右上に『ご愛用者様10万人突破!』、左上に『広告表現NG事例』というラベルが付いています。
※自社で作成したイメージ画像です

一般的名称が家庭用低周波治療器で、使用目的または効果に「筋肉痛の緩解」が含まれている製品があるとします。

この製品について「自宅で腰痛を治療する」と広告することはできません。

製品名称に「治療器」が入っていても、「腰痛」という症状全般の治療効果が認められたことにはなりません。腰痛にはさまざまな原因があります。「筋肉痛の緩解」から「腰痛の治療」へ範囲を広げれば、承認等の範囲を超える広告になります。

また、腰を押さえて苦しむ人物画像、「通院不要」「もう痛みに悩まない」というコピーを組み合わせれば、文章単体に「治る」がなくても、広告全体として治癒や医療機関の代替を暗示します。

修正案は、「筋肉痛の緩解に」「腰まわりの筋肉に使用できます」など、認められた効果と使用部位を分けて説明する形です。

ただし、腰への使用可否は取扱説明書や添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)で確認しなければなりません。使用できない部位を広告上で追加することはできません。

一般的名称やJMDNから確認する方法は「医療機器広告でJMDN・一般的名称をどう確認する?」でまとめています。 

事例3:家庭用温熱治療器で「治療する」と広告

家庭用温熱治療器の広告で「治療する」と表現する際のNG事例を示したイメージ。家庭用温熱治療器は患部に温熱を与えて治療することを目的とした医療機器であり、承認・認証された使用目的や効能効果の範囲内で用途を説明することはできる。一方で、「この治療器だけで完治できる」「病院に通わず自宅で根本ケア」「今すぐ完治を目指す」など、治療結果を保証したり、医療機関での診療に代わるような印象を与えたりする表現は問題となる。画像では家庭用温熱治療器の装着例と、満足度や販売実績などの訴求を組み合わせ、承認・認証範囲を超えた治療効果や完治を期待させる医療機器広告のNG例を示している。
※自社で作成したイメージ画像です

「治療する」という表現も、一律に禁止されるわけではありません。

たとえば、家庭用温熱治療器は、患部に温熱を与えて治療することを目的とした医療機器です。 そのため、承認・認証された使用目的や効果の範囲内で、製品の用途を説明することはできます。

しかし、それだけで自由に広告ができるわけではありません。承認された範囲を超える効果をうたったり、治療結果を保証したり、医療機関での診療に代わるかのような印象を与えたりする表現は認められません。

たとえば、次のような表現は問題になります。

  • 「自宅で確実に治療できる」
  • 「病院へ行かなくても治療できる」
  • 「手術をしなくても治療できる」
  • 「この治療器だけで完治できる」

一方で「家庭で使用する温熱治療用の医療機器 」「患部へ温熱を与えて治療する家庭用医療機器 」など、承認・認証された使用目的や効果の範囲を逸脱しない説明であれば、広告表現として検討できる場合があります。

重要なのは、「治療」という言葉そのものではなく、何を、どこまで治療すると伝えているかです。広告全体として、承認・認証された使用目的や効果の範囲を超えていないか、治療効果を保証する内容になっていないかを確認する必要があります。

医師推薦や体験談を付けても「治る」は使えない

「医師も効果を認めています」
「専門家が治ると推薦」
「利用者の肩こりが治りました」

このように、医師コメントや体験談を付けても「治る」は使えません。

むしろ、医師、専門家、利用者の言葉を使うことで、効果が実証されている、または多くの人に同じ結果が出るとの印象が強くなります。

「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注釈を付けても、本文や動画で治癒を断定している事実は変わりません。小さな注釈で強い保証表現を打ち消す方法は修正になりません。

医師推薦・専門家コメントを使用する場合は「医療機器広告で医師推薦・専門家コメントは使える?」 もご覧ください。

景品表示法では期間・数値・比較の根拠も問われる

薬機法上、承認範囲内の効果を説明できる場合でも、景品表示法の確認は必要です。

「7日で治療効果を実感」
「使用者の90%が治った」
「従来品より2倍早く治療する」

このような期間、割合、比較を表示する場合、広告対象製品について、その表示内容と対応する合理的根拠が必要です。

試験対象者、症状、使用方法、評価項目が広告と一致していなければなりません。部品や作用原理に関する研究、別製品の臨床データ、限られた条件下の試験だけで、商品全体の治療結果を保証することはできません。

根拠を探す作業は、言いたい効果を後から正当化するために行うものではありません。まず承認された範囲を確認し、その範囲の表示を裏付ける資料を選びます。根拠をもとに表現を社会へ出せる形に変換することが、広告設計の実務です。

景品表示法上の判断は「優良誤認・有利誤認とは?」もあわせてご確認ください。 

実務では「治療」の主語・対象・結果を分解する

医療機器広告をチェックするときは、「治る」「治療」という文字だけを検索して終わらせません。

まず、誰が治療するのかを確認します。医師が医療行為として使用するのか、一般消費者が家庭で使用するのかによって、広告の受け取られ方が変わります。

次に、何を治療するのかを確認します。疾病名、症状名、使用部位が承認書、認証書、届出内容、添付文書と一致している必要があります。

さらに、どのような結果を伝えているかを確認します。「緩解」「補助」「治療」「治癒」は似ている表現に見えますが、同じではありません。

制作開始後にこの確認をすると、ファーストビューから体験談、CTAまで書き直すことになります。この場合、一語の言い換えでは解決できないため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

媒体別のチェック方法は「医療機器広告チェック・制作実務ガイド」で整理しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
クライアントが「治ると言いたい」と希望したときは、すぐに弱い言葉へ変えるのではなく、何を伝えたいのかを確認します。
症状への効果を示したいのか、自宅で使える利便性を示したいのか、医療機関で採用される信頼性を示したいのか。目的を分解すれば、承認範囲内の効果、使用方法、構造、操作性などを組み合わせた代案を作れます。
薬機法対応は、強い言葉を削るだけの作業ではありません。企画と法規制を同時に設計し、訴求を残したまま伝わる表現に変える再設計なのです。

まとめ

医療機器広告でも、「治る」「完治する」「治癒する」は効果保証表現になるため、原則として使えません。

一方「治療する」は、対象となる治療が承認・認証された使用目的または効果に含まれている場合に限り、使用できる余地があります。ただし、結果の確実性、医療機関の代替、承認範囲を超える疾病・症状まで伝えればNGです。

制作前には少なくとも、承認書や認証書または届出内容、添付文書、取扱説明書を確認してください。

「治療器」という名称だけで判断せず、何を治療する製品なのか、認められた結果は治療、緩解、補助のどれなのかを確認することが必要です。

なお、医療機器広告における承認範囲の判断は、医療機器広告で使える・使えない表現集|NG表現・OK表現・薬機法チェックの実務ガイド も詳しく解説しています。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医療機器広告における『治る』と『治療する』の表現の可否について解説する図。左側に『医療機器広告で「治る」「治療する」は使える?』というタイトル。中央に『治る』の禁止事項(結果の断定、効果保証)、右側に『治療する』の注意点(承認・認証範囲の確認、正確な対象・結果の表示)が示され、下部に『単語ではなく、対象・範囲・広告全体で判断』という重要ポイントが記載されている。

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