「このファンデーションならシミが消える」「使い続ければシミが薄くなる」。一般化粧品で、既にあるシミが消える、薄くなると表現することはできません。薬用化粧品でも、美白の承認効能が通常認められているのは、シミの「予防」であり、「除去・改善」ではありません。
一方、メーキャップ効果としてシミを隠す、日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ、といった表現は条件を満たせば使えます。実務では「消す・隠す・防ぐ」を分けて判断します。
一般化粧品で「シミが消える」はNG
一般化粧品で「シミが消える」「シミを薄くする」「できてしまったシミを改善する」は使えません。化粧品に認められた効能効果の範囲を超え、既にあるシミを改善・除去する作用を標ぼうするためです。日本化粧品工業会のガイドラインでも、できてしまったシミをなくす、薄くするといった治療的な表現は認められない例として整理されています。
ただし、ファンデーションやコンシーラーなどで、事実に基づき「メーキャップ効果でシミをカバーする」「シミを見えにくくする」と表現することは可能です。また、当該製品に該当する効能であれば、一般化粧品でも「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」は認められた効能の一つです。「日焼けによる」を省略し「シミを防ぐ」という表現はできません。
薬用化粧品の表現は承認内容で判断します。「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」等の効能で承認されている製品なら、その範囲で美白・シミ予防を訴求できます。しかし、承認が予防である以上、「シミを消す」「今あるシミを薄くする」まで広げることはできません。
また薬機法上の効能範囲とは別に、効果を実際以上に優良に見せていないかという景品表示法上の確認も必要です。優良誤認の判断基準は「優良誤認・有利誤認とは?景品表示法の不当表示を広告実務者向けに解説」で詳しくまとめています。
「シミが消える」が薬機法上NGになる理由
薬機法66条は、化粧品等の効能・効果について虚偽・誇大な広告を禁止しています。さらに医薬品等適正広告基準では、承認を要しない化粧品の効能効果は、厚生労働省が示す化粧品の効能の範囲を超えないこととされています。
厚生労働省が示す56項目には「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」はありますが、「シミを消す」「シミを薄くする」はありません。「シミが消える」が使えない理由は、薬機法上の化粧品の効能範囲を超えるからです。
景品表示法は別の角度から規制します。「シミが消える」という効果・性能表示が実際より著しく優良に見せるものであれば優良誤認の問題となり、効果・性能の裏付け資料を求められることもあります。ただし、試験データがあるから一般化粧品で「シミが消える」と言えるわけではありません。根拠資料の有無と、薬機法上そもそも広告できる効能範囲かは分けて判断します。
化粧品の効能範囲は「化粧品で認められる56項目の効能効果とは?薬機法上の広告表現範囲を制作会社向けに解説」の記事を参考にしてください。
事例1|美容液LPで「使うほどシミが薄くなる」

一般化粧品の美容液LP(ランディングページ)で「使うほどシミが薄くなる」「長年のシミを集中ケア」と訴求するケースはNGです。保湿成分や整肌成分のデータがあっても、一般化粧品で既存のシミを減らす効能までは表現できません。
修正では、「シミ」を弱い言葉へ置き換えるのではなく、何を売りにしたかったかを分解します。保湿なら「肌にうるおいを与える」、キメなら「肌のキメを整える」と、当該製品で表現できる価値へ軸を移します。
日やけ予防機能を持たない美容液に、単に「日やけによるシミを防ぐ」と差し替えるのも修正にはなりません。製品にその効能が該当するかを先に確認します。厚生労働省も、広告可能な事項は効能一覧にあるだけでなく「当該製品について該当する効能」であることを求めています。
「改善」という言葉は、商品区分や何の改善を意味するかによって扱いが変わります。化粧品以外も含めた判断基準は「薬機法で『改善』は使える?症状・肌・睡眠・使用感で判断が変わる理由」も参考にしてください。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作終盤でNG表現だけを差し替えると、メイン訴求とLP全体のストーリーが崩れます。一般化粧品で「シワ改善」を主軸にしたLPが、後から大きく書き直すことになった事例でも、問題は一語ではなく企画の起点でした。シミ訴求も同じで、「改善を売るのか、予防を売るのか、見た目をカバーするのか」を企画段階で決める方が手戻りを減らせます。
事例2|コンシーラーで「塗った瞬間、シミが消える」


コンシーラーの広告で「塗った瞬間、シミが消える」と表示するケースです。メーキャップ商品でも、 「消える」だけでは既存のシミそのものがなくなる効能と受け取られるおそれがあります。 「メーキャップ効果でシミをカバーする」など、一時的な見た目の変化であることが明確に分かる表現にします。 日本化粧品工業会のガイドラインでも、メーキャップ効果であることが明確でない「消える」方向の表現は認められない例として示されています。
修正するなら「メーキャップ効果でシミをカバー」「シミ・ソバカスを見えにくくカバー」のように、色彩による一時的な見た目の変化だと分かる表現にします。
ビフォーアフター画像も、メーキャップによる物理的効果を示す範囲なら使用できます。ただし、事実の範囲であり、効果を保証する表現にならないことが前提です。画像加工で素肌そのものが改善したように見せたり、コピーと組み合わせて治療的な変化を印象づけたりすれば、広告全体として別の意味になります。
文言以外も含めた判断方法は「薬機法対応広告で重要な『広告全体の印象』とは?文言だけで判断できない理由」をご覧ください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
コピーだけ「カバー」に直しても、画像が「シミが消失した肌」に見えれば修正は不十分です。広告は単語ではなく、画像、動画、注釈、ビフォーアフター、CTA(行動の指示)まで含めて受け取られます。法律上説明できる表現でも媒体独自の審査で止まることがあります。公開先の考査基準も企画時に確認します。
事例3|日やけ止めで「シミを防ぐ」


一般化粧品の日やけ止めで「シミを防ぐ」とだけ表示するケースもNGです。認められているのは「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」であり、「日やけによる」という条件を外すことはできません。日本化粧品工業会のガイドラインでも、「日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ」は可、「シミ、ソバカスを防ぐ」は不可と明示されています。
薬用化粧品の場合は、さらに承認書の効能を確認します。「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」で承認されているなら、その「しばり」を落として単に「シミを防ぐ」と広げないことが基本です。
薬用化粧品の美白表現は「医薬部外品の効能効果と広告表現|美白・シミ・育毛・ニキビ・デオドラントの注意点」で承認効能との関係を確認してください。
実務では「消す・隠す・防ぐ」を先に分けて修正する
修正時に最初に確認するのは、商品区分と承認・届出内容です。そのうえで、元のコピーが「既存シミの改善・除去」「メーキャップによるカバー」「日やけによるシミの予防」のどれを言おうとしているのかを切り分けます。広告全体の確認手順は「化粧品広告の薬機法チェック入門|制作会社が知るべきOK表現・NGになりやすい表現」の記事でご確認ください。
既存シミを消す訴求が商品区分上できないなら、言葉をぼかすのではなく、保湿、キメ、使用感、色補正、カバー力、紫外線防止など、製品が実際に提供できる価値へ戻します。「気になるシミに」「シミ悩みにアプローチ」といった曖昧語でも、LP全体が既存シミの改善を示していれば逃げ道にはなりません。
表現の組み直し方は「薬機法対応の化粧品表現言い換え集|NGになりやすい効能効果表現とリライトの考え方」の記事を参考にしてください。
薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬事対応は「NGを見つける作業」だけではありません。何を伝えたいのかを整理し、根拠と商品区分に合わせて、通る表現へ変換する仕事です。企画段階で法規、媒体、根拠を確認すれば、公開直前の全面修正を減らせます。根拠を説明できることと、法律上その表現が許されることは別々に確認します。
まとめ
一般化粧品で「シミが消える」「シミが薄くなる」は使えません。メーキャップ化粧品なら、事実に基づき「シミをカバーする」「見えにくくする」と、一時的な物理効果として表現します。一般化粧品でシミ予防を言う場合は、当該製品に該当することを前提に「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」と条件まで明確にします。薬用化粧品は承認効能が基準です。
広告チェックでは、「シミ」という単語を探すのではなく、その広告が既存シミの改善、見た目のカバー、将来の予防のどれを約束しているのかを確認してください。ここを分ければ、訴求を残した修正案を作りやすくなります。
化粧品広告について体系的に理解したい方は「化粧品で認められる56項目の効能効果とは?薬機法上の広告表現範囲を制作会社向けに解説」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、関係法令や公的機関、業界団体による公式資料を基に、化粧品広告での「シミの除去」「色の改善」「物理的カバー」「UVによるシミ予防」等の表現について、薬機法が定める化粧品の効能範囲、メーキャップ効果の定義、薬用化粧品の美白訴求、さらに景品表示法上の不当表示(優良誤認・不実証広告)防止の観点から考察しています。
実際の広告表現の妥当性は、製品分類や該当する効能、医薬部外品としての承認状況、メーキャップに伴う物理的な変化、ビジュアル・注釈を含めた全体の印象、客観的エビデンス等により判断が分かれます。そのため、実運用にあたっては最新の公的文献や専門家への照会、承認書の内容確認を適宜行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月10日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局長「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年09月06日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年09月06日)
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免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



