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特定商取引法に基づく表記とは?通販・EC・LPで必要な記載項目と注意点を実務者向けに解説

「特定商取引法に基づく表記とは?」という見出しの横に、特商法表記を中心として、LP、商品ページ、カート、最終確認画面を線でつないだ図解。下部では、価格・送料・事業者情報などの必要項目、購入導線全体での照合、定期購入における継続価格・総額・解約方法の明示という3つの確認ポイントを示している。

ECサイトや通販LP(ランディングページ)を制作するとき、「フッターに特定商取引法に基づく表記へのリンクを置いたので、特商法対応は完了」と考えていないでしょうか。

特定商取引法に基づく表記とは、通信販売において、消費者が契約前に販売条件や事業者情報を確認できるようにするための表示です。販売価格、送料、支払方法、商品の引渡時期、返品条件、販売業者の名称・住所・電話番号などが主な確認項目になります。

ただし、実務で見るべき場所は、特商法表記ページだけではありません。LPに掲載した価格やキャンペーン条件、商品ページ、申込フォーム、カート、注文確定直前の最終確認画面が、それぞれ矛盾していないかを確認する必要があります。特に定期購入やサブスクでは、初回価格だけでなく、2回目以降の価格、送料、購入回数、支払総額、解約条件の見せ方が重要です。

この記事では、特定商取引法に基づく表記の基本から、必要な記載項目、2022年6月1日に施行された改正法に対応する最終確認画面、定期購入LPの確認ポイントまで、広告・制作実務者向けに整理します。個別案件では、商材、販売方法、契約条件、画面構成によって判断が変わるため、最新の公的資料や法務・専門家による確認もあわせて行ってください。

この記事の要点(まとめ)
  • 特商法表記は、契約条件を確認するための表示:販売価格、送料、支払方法、引渡時期、返品条件、事業者情報など、消費者が購入前に把握すべき情報を示します。単なる会社概要ページではありません。
  • 確認対象は特商法表記ページだけではない:LP、商品ページ、申込フォーム、カート、最終確認画面までを一つの購入導線として確認し、価格や返品条件、定期購入条件に矛盾がないかを見る必要があります。
  • 定期購入では契約全体を分かりやすく示す:初回価格だけを強調せず、2回目以降の価格、送料、購入回数、総額、解約方法などを、申込みを確定する前に容易に確認できるように設計することが重要です。
目次

特定商取引法に基づく表記とは

「特定商取引法に基づく表記とは」をテーマにした図解。中央に「ページ名より、内容と確認しやすさが重要」というメッセージを置き、左側に「特定商取引法に基づく表記」「特定商取引法に関する表記」「特商法表記」「通販表記」など実務で使われる呼び方、右側に販売価格、送料・支払方法、引渡時期、返品・解除条件、事業者情報、継続契約の条件といった主な確認項目を配置している。下部では、自社ECサイト、通販LP、SNS広告からの申込、オンライン講座・有料会員、定期購入・サブスク、デジタルコンテンツなど、確認対象になりやすい場面を整理し、購入判断前に必要条件を確認できることが重要だとまとめている。

特定商取引法に基づく表記とは、通信販売において、消費者が契約前に販売条件と事業者情報を確認できるようにするための表示です。一般には「特商法表記」「通販表記」「特定商取引法に関する表記」などとも呼ばれています。

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、通信販売の広告における表示事項として、販売価格、送料、支払時期・方法、商品の引渡時期、申込期間、返品・解除に関する事項、販売業者の名称・住所・電話番号などが示されています。商材や契約形態によっては、ソフトウェアの動作環境や継続契約の販売条件なども必要になります。

特商法表記・通販表記・特定商取引法に関する表記の違い

これらは、実務上はおおむね同じページや表示を指す言葉として使用されています。

呼び方実務上の使われ方
特定商取引法に基づく表記ECサイトやLPで一般的に使用されるページ名
特定商取引法に関する表記「基づく表記」と同様の意味で使われることが多い表現
特商法表記制作・広告・EC運用の現場で使われる略称
通販表記通信販売で必要となる販売条件表示の通称

ここで押さえておきたいのは、ページ名よりも内容です。「特定商取引法に基づく表記」というページを用意していても、必要な条件が抜けていたり、LPやカートと内容が異なっていたりすれば、十分な表示になっているとは限りません。

特商法表記が必要になる主な場面

特商法上の通信販売には、一般的なECサイトだけでなく、インターネット上で申込みを受ける商品販売や有料サービスも含まれます。有料の情報配信など、形のないサービスであっても、有償の役務提供に当たれば規制対象となる場合があります。

実務上、確認対象になりやすいのは次のような場面です。

  • 自社ECサイトで商品を販売する
  • 通販LPから直接購入を受け付ける
  • SNS広告や記事LPから申込ページへ誘導する
  • オンライン講座や有料会員サービスを販売する
  • 定期購入、サブスク、頒布会を提供する
  • デジタルコンテンツやソフトウェアを販売する

広告・EC実務で重要になる理由

特商法表記は、フッターに置く形式的なリンクではありません。消費者が「誰から、何を、いくらで、どの条件で購入するのか」を判断するための情報です。

消費者庁の通信販売広告Q&Aでは、商品を紹介するLPなど、表示を見た消費者が通信手段で購入を申し込めるものは、特定商取引法上の広告に該当し、広告内で必要事項を表示する必要があるとされています。返品・解除に関する事項は、顧客が容易に認識できるように表示することも求められています。

したがって、広告制作では「表記ページを作ったか」だけでなく、「購入を判断する時点で必要な条件を確認できるか」を見ることが基本になります。

広告・EC実務の特商法については「通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法|表示項目・最終確認画面・定期購入の確認ポイント」で詳しく解説しています。

特商法表記に記載すべき主な項目

「特商法表記の主な記載項目」を14項目のチェックリストで整理した図解。上段に「価格・支払い」として販売価格、送料その他の負担、支払方法、支払時期、「申込み・提供」として引渡時期・提供時期、申込期間を配置。下段に「返品・契約条件」として返品・交換条件、解約・キャンセル条件、継続契約の条件、「事業者・商材情報」として販売業者名、住所、電話番号、代表者・責任者、商材固有の情報を示している。下部では、テンプレートをそのまま使わず、商材と売り方に合わせて補完し、LP・カート・最終確認画面との一致も確認することが重要だとまとめている。

特商法表記では、価格や送料だけでなく、支払方法、商品の引渡時期、返品条件、事業者情報など、契約判断に必要となる情報を表示します。ただし、必要項目は商材、販売方法、契約期間などによって変わるため、テンプレートをそのまま流用するだけでは不十分な場合があります。

特商法表記ページの記載項目チェックリスト

項目記載内容の例制作時の確認ポイント
販売価格・役務の対価各商品ページに記載、月額5,500円など税込価格か。LPやカートの金額と一致しているか
送料その他の負担全国一律660円、決済手数料など「送料実費」だけで終わっていないか
支払方法クレジットカード、後払い、代金引換など利用可能な方法と実際のカート仕様が一致しているか
支払時期注文時、毎月○日、商品発送後○日以内など決済方法ごとに時期が異なる場合を整理しているか
引渡時期・提供時期入金確認後3営業日以内に発送など予約商品、受注生産品、デジタルサービスを区別しているか
申込期間○月○日まで・在庫終了までなど期間限定訴求と実際の販売期間が一致しているか
返品・交換条件到着後8日以内、未開封品に限るなど返品可否、期限、送料負担、連絡方法が分かるか
解約・キャンセル条件次回発送日の○日前までに連絡など定期購入の解約手段、期限、連絡先を具体的に示しているか
販売業者名登記上の法人名、個人事業者の氏名・商号サイト名や未登記の屋号だけになっていないか
住所現に活動している住所番地の省略や、連絡不能な住所になっていないか
電話番号確実に連絡できる番号使用していない番号や常時応答しない状態でないか
代表者・責任者代表者名または通販業務責任者名法人がWeb広告を行う場合に確認する
継続契約の条件回数、期間、各回の価格、総額など初回表示だけでなく契約全体が分かるか
商材固有の情報ソフトウェアの動作環境など商品・サービス固有の表示義務を確認したか

販売価格・送料・支払方法

販売価格は、実際に消費者が購入するときの価格を基準に確認します。「通常価格」「メーカー希望小売価格」だけを表示し、実際の販売価格が分からない状態では、契約条件を十分に伝えられません。

送料が販売価格に含まれない場合には、別途表示が必要です。消費者庁のガイドでは、「送料実費」のように金額が分からない表示ではなく、全国一律額、地域別金額、最低額と最高額など、消費者が負担額を把握できる表示が示されています。

制作時には、次の箇所を横断して照合します。

  • ファーストビューの価格訴求
  • 商品説明部分
  • 購入ボタン周辺
  • 特商法表記ページ
  • カート内の小計・送料・手数料
  • 最終確認画面
  • 注文完了メール

いずれか一つでも異なる金額が残っていると、消費者の誤認や問い合わせにつながります。

引渡時期・提供時期

「注文後に発送します」「準備ができ次第提供します」だけでは、消費者がいつ受け取れるのか判断しにくい場合があります。

通常商品であれば「注文確認後○営業日以内」、前払いであれば「入金確認後○営業日以内」など、取引の実態に合わせて記載します。予約販売、受注生産、ダウンロード商品、オンライン講座などでは、それぞれに合った提供時期を整理してください。

返品・キャンセル・解約条件

「返品不可」とする場合も、その旨を対象商品との関係が分かるよう明瞭に表示する必要があります。

契約内容に適合している商品について、購入者都合による返品条件を定める場合は、主に次の点を明確にします。 

  • 購入者都合の返品が可能か
  • 返品を受け付ける期限
  • 未開封・未使用などの条件 
  • 返送時の送料を誰が負担するか
  • 返品やキャンセルの連絡方法

返品を認めない場合でも、「返品不可」と記載すること自体が直ちに不十分というわけではありません。対象商品との関係、表示場所、文字の大きさ、購入ボタンや価格表示との位置関係などから、消費者が購入前に返品条件を明確に認識できる状態にしておく必要があります。

なお、「返品不可」は主に購入者都合の返品に関する表示です。商品不良や誤配送などについて別途特約を設ける場合は、その内容も分かるように表示します。

定期購入では、返品条件と解約条件を分けて記載します。

返品特約については「返品不可・返品条件はどう表示する?通販LP・ECにおける返品特約の実務ポイント」をご覧ください。

事業者名・住所・電話番号

法人の場合は登記上の名称、個人事業者の場合は戸籍上の氏名または登記された商号を基本として確認します。サイト名や未登記の屋号だけでは、責任主体が明確にならないことがあります。

住所は現に活動している住所を正確に表示し、電話番号は確実に連絡を取れる番号であることが求められます。法人がインターネット広告を行う場合には、代表者または通信販売業務の責任者の氏名も確認します。

一定の条件を満たせば、消費者から請求があった際に遅滞なく情報を提供する仕組みにより、氏名・住所・電話番号の表示を省略できる場合もあります。ただし、広告上の案内、情報提供の体制、申込み前に確認できる時間的余裕などが必要です。「個人事業なので省略できる」と単純に判断しないようにしてください。

商材によって追加確認が必要な項目

販売するものがソフトウェアであれば、OSやメモリなどの動作環境が必要になる場合があります。継続契約であれば、各回の価格や提供条件、契約期間も重要です。

さらに、健康食品、化粧品、医薬部外品、医療機器などでは、特商法とは別に薬機法、健康増進法、食品表示法等の確認が必要です。

特商法表記のテンプレートは出発点にはなりますが、最終的には「今回の商材と売り方で、消費者が確認すべき条件は何か」という視点で補完する必要があります。

特商法表記ページを設置するだけでは十分とは限らない

「特商法表記ページだけでは不十分」という見出しの下に、広告・LP、商品ページ、特商法表記ページ、カート・最終確認画面の4つを矢印でつないだ購入導線の図解。各カードには、価格や送料、商品内容、事業者情報、返品・解約条件、数量や総額などの確認項目が示されている。下部には「起こりやすい不整合」として、LPでは送料無料だが表記では送料660円、LPではいつでも解約可能だが表記では最低3回購入、LPでは初回980円だがカートでは合計1,310円、表記では3営業日発送だが商品ページでは7営業日などの食い違い例が整理され、購入導線全体で条件を照合する重要性を示している。

特商法対応は、単独の表記ページを作る作業ではなく、広告から注文確定までの表示設計です。LP、商品ページ、特商法表記ページ、カートの内容を一続きの購入導線として確認する必要があります。

特商法対応で確認すべき4つの場所

確認場所主な確認内容起こりやすい不整合
広告・LP初回価格、割引条件、送料、定期購入条件初回価格だけを大きく表示している
商品ページ商品内容、数量、販売条件LPと通常価格や内容量が異なる
特商法表記ページ事業者情報、支払方法、返品・解約条件古い送料や解約期限が残っている
カート・最終確認画面数量、総額、支払条件、返品・解除条件システム上、定期条件が十分に表示されない

消費者庁は、メールやバナーの本文とリンク先について、一体として通信販売広告とみる考え方を示しています。リンク先が見つかりにくい、リンクの内容が分からないといった場合には、表示義務を満たさないと解される可能性があります。

LPと特商法表記ページの条件を一致させる

制作現場では、LP担当者、EC担当者、カート運用担当者が別々に作業していることがあります。この場合に起こりやすいのが、次のような不一致です。

  • LPでは送料無料、特商法表記では送料660円
  • LPではいつでも解約可能、表記ページでは最低3回の購入が必要
  • LPでは初回980円、カートでは手数料を含めて1,310円
  • 表記ページでは発送まで3営業日、商品ページでは7営業日
  • LPのキャンペーン期間が終了しているのに、古い価格が残っている

どのページが正しいかを消費者に判断させる状態は避けなければなりません。社内では、販売条件を管理するマスターを一つ決め、更新時にはLP、カート、特商法表記、利用規約、FAQをまとめて変更する運用が有効です。

リンクを置く場合も、到達しやすさを見る

事業者情報については、「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」など、リンク先の内容が分かる名称で、広告の冒頭部分から容易に到達できる設計が例示されています。

文字サイズが極端に小さい、背景と同化している、何度も画面を切り替えなければ到達できないといった状態では、形式的にリンクがあっても、消費者が容易に確認できるとは限りません。

ここで大事なのは、リンクの有無ではなく、契約前に必要情報へ現実的に到達できるかです。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
特商法のチェックで最も多い誤解は、「フッターに特商法表記へのリンクがあるから大丈夫」という考え方です。しかし、消費者が実際に購入を判断するのは、LPの価格表示や購入ボタン、カート、最終確認画面です。
特商法表記ページが正しくても、LPでは送料無料、カートでは送料有料となっていれば、消費者から見れば条件が食い違っています。逆に、表記ページだけを修正しても、最終確認画面に古い条件が残っていれば対応は完了していません。
制作現場では、ページ単位ではなく、広告を見てから注文を確定するまでを一つの表示として確認することがポイントです。

改正特定商取引法と最終確認画面で必要な表示

インターネット通販では、注文を確定する直前の最終確認画面において、分量、価格、支払条件、引渡時期、申込期間、返品・解除条件などを確認できるようにする必要があります。

2022年6月1日に施行された改正特定商取引法では、通信販売の申込み段階における表示が強化されました。最終確認画面で基本的な契約事項を明確に表示することが求められ、誤認させる表示によって申込みをした場合には、消費者が契約を取り消せる可能性も示されています。

最終確認画面に表示する主な事項

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、インターネット通販の最終確認画面に表示する事項として、次の項目が整理されています。

  • 商品・サービスの分量
  • 販売価格または役務の対価
  • 送料
  • 支払時期
  • 支払方法
  • 商品の引渡時期またはサービスの提供時期
  • 申込期間の定めがある場合は、その期間
  • 契約の申込みの撤回・解除に関する事項
  • 返品特約がある場合は、その内容

また、契約の申込みになることや、これらの事項について消費者を誤認させる表示は禁止されています。

「注文を確定する」ボタン周辺だけを見ない

実務では、ボタンの名称だけを修正して対応したつもりになるケースがあります。しかし、確認すべきなのは、画面全体で契約内容を理解できるかです。

例えば、ボタンが「注文を確定する」と明確になっていても、定期購入であることや2回目以降の価格が画面下部の小さな文字にしか表示されていなければ、契約全体を分かりやすく示しているかという問題が残ります。

一方、すべての情報を同じ大きさで並べればよいわけでもありません。重要な契約条件を見つけやすくし、関連情報をまとまりとして読める画面設計が必要です。

内容を確認・訂正できる設計にする

インターネット通販では、消費者が申込み内容を容易に確認し、訂正できるようにしていない場合、「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」として行政処分の対象となり得ます。

制作時には、次の操作を実際にテストしてください。

  • 商品の数量を変更できるか
  • 注文商品の削除や変更ができるか
  • 定期購入と単品購入を誤認しないか
  • 送料や手数料を含む支払額を確認できるか
  • 注文確定前に前の画面へ戻れるか
  • スマートフォンでも重要事項を見落とさないか

PC画面で問題がなくても、スマートフォンでは折りたたみ表示や画面幅の影響で条件が見えにくくなることがあります。公開前には、実際の端末で注文完了直前まで操作することが欠かせません。

定期購入・サブスク広告で特に注意すべき表示

定期購入やサブスクでは、初回価格ではなく、消費者がどのような契約を結び、最終的に何を負担するのかが分かる表示にすることが重要です。

初回価格が安くても、2回目以降の価格、送料、最低購入回数、解約期限によって、消費者の負担は大きく変わります。そのため、広告の目立つ部分と、契約条件を説明する部分を切り離して考えることはできません。

初回価格と2回目以降の価格をセットで確認する

定期購入LPで起こりやすいのは、初回価格だけが大きく表示され、2回目以降の価格が小さな注釈に置かれるケースです。

例えば、次のような情報は近接した場所で確認できるようにします。

  • 初回価格
  • 2回目以降の価格
  • 各回の送料
  • 1回に届く数量
  • 配送間隔
  • 最低購入回数
  • 最低購入回数がある場合の支払総額

「初回500円」という表示自体が直ちに問題になるわけではありません。問題になるのは、広告全体を見た消費者が、500円だけ支払えば商品を試せると受け取る一方、実際には複数回分の購入が条件になっているような場合です。

回数の定めがない契約も分かりやすくする

最低購入回数のない定期購入であっても、1回だけの商品購入とは異なります。

消費者庁の通信販売広告Q&Aでは、期間の定めのない定期購入について、各回の代金、送料、支払条件を示すとともに、半年分や1年分などの購入価格を目安として表示し、1回限りではないことを容易に認識できるようにする考え方が示されています。また、解約通知がない限り継続する無期限の契約であることも、認識しやすく表示する必要があると説明されています。

「回数縛りなし」という表現だけでは、契約が自動的に終了するのか、解約するまで続くのかが分かりません。継続の仕組みまで説明することが大切です。

解約条件は「いつでも解約可能」だけで終わらせない

「いつでも解約可能」と表示する場合でも、実際には次回発送日の10日前までに手続きが必要、電話受付は平日のみ、といった条件が付くことがあります。

このような場合は、少なくとも次の内容を確認します。

  • 最低購入回数の有無
  • 解約を申し出る期限
  • 電話、Web、メールなどの解約方法
  • 受付時間
  • 次回発送準備後の扱い
  • 解約時に必要な情報
  • 休止、スキップ、解約の違い
  • 初回解約時の追加負担や返送条件の有無

広告で「簡単に解約できる」と訴求するのであれば、実際の受付体制や操作方法も、その印象と整合している必要があります。

定期購入LPの表示チェック表

確認項目確認内容
定期購入であることファーストビューや購入ボタン付近で認識できるか
初回価格税込額、送料、手数料が分かるか
2回目以降価格、数量、配送間隔が分かるか
最低購入回数有無と具体的な回数が分かるか
支払総額回数条件がある場合に総負担額が分かるか
無期限契約解約まで継続することが分かるか
解約期限「次回発送日の○日前」など具体的か
解約方法電話、Web、メール等の実際の手段と一致するか
最終確認画面契約条件を一覧で確認できるか
広告との整合LP、表記ページ、カートで条件が一致しているか
江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
定期購入広告では、「注釈に書いてあるので問題ないですか」と聞かれることがよくあります。ここで大事なのは、注釈の有無ではありません。
ファーストビューで「初回500円」だけを強く見せ、2回目以降の価格や最低購入回数を離れた場所に小さく置けば、広告全体として500円だけで試せる印象を与える可能性があります。
確認するときは、制作担当者が条件を知っている状態で読むのではなく、初めて広告を見た消費者がどのように理解するかを考えます。価格、継続条件、解約条件を一つの契約として読めるか。この視点を持つと、修正すべき場所が見えやすくなります。

特定商取引法に基づく表記が不十分な場合のリスク

特商法表記の不足や、申込画面における誤認表示は、行政処分や罰則の対象となる可能性があります。ただし、「表記ページがないから直ちに違反」「一項目抜けたら必ず処分」と機械的に判断するのではなく、取引の内容と表示全体を確認する必要があります。

必要事項が記載されていない

通信販売広告で表示すべき事項が欠けている場合、特定商取引法上の問題となる可能性があります。

特に、次のような状態は確認が必要です。

  • 事業者名がサイト名だけになっている
  • 住所の番地を省略している
  • 連絡の取れない電話番号を掲載している
  • 送料を「実費」とだけ記載している
  • 返品不可であることを表示していない
  • 定期購入の販売条件が抜けている
  • LPから特商法表記ページに容易に到達できない

表記ページと実際の販売条件が異なる

必要項目をすべて埋めていても、実際の販売条件と違えば問題は解消しません。

特定商取引法は、表示事項について著しく事実と異なる表示や、実際より著しく優良・有利であると誤認させる表示を禁止しています。

例えば、表記ページには「いつでも解約可能」と記載しながら、実際には電話がつながらず解約できない状態であれば、文章だけではなく運用面も含めて見直す必要があります。

誤認表示により契約取消しの問題が生じる

改正法では、申込みの最終段階で契約内容を誤認させる表示を行った場合、消費者が契約を取り消せる可能性があります。

広告担当者にとっては、行政処分だけがリスクではありません。返品や返金対応、カスタマーサポートの増加、媒体掲載停止、ブランドへの不信など、実務上の影響も考える必要があります。

特商法対応は、「違反を避けるために表示を増やす作業」ではなく、契約内容を正しく伝え、購入後の認識違いを減らすための設計と捉えると分かりやすいでしょう。

特商法違反については「特商法違反になるケースとは」や「特定商取引法の禁止行為とは?」でも詳しく解説しています。

薬機法・景品表示法と特商法の違い

薬機法、景品表示法、特定商取引法は、それぞれ確認する対象が異なります。一つの法律を確認したからといって、他の法律への対応が完了するわけではありません。

法規制主な確認対象広告実務での例
特定商取引法売り方、販売条件、契約・申込方法価格、送料、返品、定期購入、最終確認画面
景品表示法商品・サービスの品質や価格についての不当表示優良誤認、有利誤認、No.1表示、二重価格
薬機法医薬品等の品質・有効性・安全性に関する広告化粧品の効能表現、医薬部外品の承認範囲
健康増進法食品の健康保持増進効果等に関する表示健康食品の誇大表示
食品表示法食品の名称、アレルゲン、栄養成分表示 等容器包装等の法定表示。EC商品ページでは情報提供としての正確性・整合性を確認 

例えば、健康食品の定期購入LPでは、次の確認が並行して必要です。

  • 「血糖値が下がる」などの表現が使えるか:薬機法・健康増進法等
  • 「満足度No.1」の根拠が適切か:景品表示法
  • 「初回500円」の条件が正しく伝わるか:景品表示法・特定商取引法
  • 解約条件や総額が分かるか:特定商取引法
  • 最終確認画面で契約内容が確認できるか:特定商取引法

制作会社や広告代理店では、薬機法チェックの担当者が特商法表記まで確認するとは限りません。案件開始時に、誰がどの法規・画面を確認するのかを決めておくことが重要です。

各法令の違いについては「特定商取引法と薬機法・景品表示法の違い|広告制作で確認すべき法令を比較解説」をご覧ください。

EC・通販・LP制作の公開前チェックポイント

公開前チェックでは、文章単位ではなく、消費者が広告を見て注文を確定するまでの導線を通して確認します。

制作前にクライアントへ確認する項目

  • 正式な販売事業者名
  • 住所、電話番号、代表者・責任者
  • 商品ごとの販売価格
  • 税込・税別の扱い
  • 地域別の送料
  • 決済手数料
  • 支払方法と支払時期
  • 発送・提供時期
  • 返品、交換、キャンセル条件
  • 定期購入の回数、価格、総額
  • 解約期限、方法、受付時間
  • キャンペーン期間
  • カートシステムの仕様
  • 注文確定ボタンの文言
  • 注文完了メールの内容

制作会社が販売条件を推測して文章を作ることは避け、事業者から正式な情報を受け取ってください。

公開前に実際の購入操作をする

原稿やデザインカンプだけを確認しても、カート上の表示漏れは発見できません。

テスト注文では、次の流れを確認します。

  1. 広告・LPを開く
  2. 商品とコースを選択する
  3. 申込フォームへ進む
  4. クーポンを適用する
  5. 送料と手数料を確認する
  6. 最終確認画面を見る
  7. 数量や商品を訂正する
  8. 注文を確定する
  9. 注文完了画面とメールを確認する

複数の商品、配送地域、決済方法がある場合は、代表的なパターンだけでなく、送料や手数料が変わる条件もテストします。

更新時のチェック体制を決める

特商法表記は、公開時に一度確認すれば終わりではありません。

次の変更があった場合には、関連ページをまとめて更新します。

  • 商品価格の変更
  • 送料の改定
  • 決済方法の追加
  • 定期コースの回数変更
  • 解約期限の変更
  • キャンペーンの開始・終了
  • 会社住所や電話番号の変更
  • カートシステムの変更

社内では、変更対象ページの一覧と責任者を決め、更新後にスマートフォンを含む実画面を確認する運用にすると、抜け漏れを減らしやすくなります。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックは、完成したLPに対して赤字を入れるだけの作業ではありません。カートの仕様上、最終確認画面に必要な情報を表示できないのであれば、コピー修正だけでは解決できないからです。
企画段階で、販売条件、定期コースの仕組み、解約フロー、カートで表示できる項目を整理しておけば、公開直前の大幅な作り直しを減らせます。
40,000件以上の広告表現支援を通じても、うまく進む案件は、制作後ではなく制作前に確認項目が共有されています。特商法も、最後に確認する法律ではなく、販売設計と画面設計の段階から組み込むことが実務上のポイントです。

よくあるご相談(FAQ)

特定商取引法に基づく表記とは何ですか?

特定商取引法に基づく表記とは、通信販売において、消費者が購入前に販売条件や事業者情報を確認できるようにするための表示です。一般には、販売価格、送料、支払方法、商品の引渡時期、返品条件、販売業者の名称・住所・電話番号などを記載します。定期購入や有料サービスでは、契約期間、各回の価格、解約条件なども確認対象になります。

通販表記と特定商取引法に基づく表記は同じ意味ですか?

実務上は、ほぼ同じ意味で使われています。「特商法表記」「通販表記」「特定商取引法に関する表記」など、呼び方は異なりますが、通信販売の販売条件や事業者情報をまとめた表示を指すことが一般的です。重要なのはページ名ではなく、取引に応じた必要事項が記載され、消費者が契約前に容易に確認できる状態になっているかです。

特商法表記には何を書けばよいですか?

販売価格、送料その他の負担、支払時期・方法、商品の引渡時期、申込期間、返品・解除条件、販売業者の名称・住所・電話番号などが主な項目です。法人がWeb広告を行う場合には、代表者または通信販売業務の責任者も確認します。継続契約、ソフトウェア、役務提供などでは追加項目が必要になるため、商材と契約形態に合わせて整理してください。

特商法表記がないと違反になりますか?

通信販売に該当する広告で、特定商取引法上必要な事項が表示されていなければ、問題となる可能性があります。ただし、違反の判断は、取引類型、広告内容、表示場所、消費者が申込み前に情報を確認できたかなどを踏まえて行われます。「専用ページがない」という一点だけで単純化せず、LP、商品ページ、申込画面、最終確認画面を含めて確認することが重要です。

特商法表記ページを設置すれば十分ですか?

表記ページの設置だけで十分とは限りません。LPの価格やキャンペーン条件、商品ページ、カート、最終確認画面が、表記ページの内容と一致している必要があります。特に、返品条件や定期購入条件は、消費者が購入を判断する場所でも認識しやすく表示することが重要です。フッターのリンクだけで対応済みと判断しないようにしてください。

改正特定商取引法で最終確認画面には何を表示しますか?

インターネット通販の最終確認画面では、分量、販売価格、送料、支払時期・方法、商品の引渡時期、申込期間、返品・解除条件などを確認できるようにします。定期購入の場合は、各回の数量・価格、回数、総額、契約の継続、解約条件も重要です。また、消費者が注文内容を容易に確認し、必要に応じて訂正できる画面設計が求められます。

特商法表記で住所や電話番号を省略できますか?

一定の条件を満たす場合には、消費者から請求を受けた際に、書面やメール等で遅滞なく提供する仕組みによって省略できるケースがあります。ただし、請求方法を広告に表示し、申込みの意思決定前に十分な余裕をもって情報提供できる体制が必要です。個人事業者であることだけを理由に省略できるわけではないため、公的Q&Aや専門家への確認を推奨します。

薬機法チェックをすれば特商法の確認も完了しますか?

完了しません。薬機法は、化粧品や医薬部外品などの効能効果表現を主に確認する法律です。一方、特商法では、価格、送料、返品、解約、最終確認画面などの販売条件を確認します。健康食品や化粧品の通販LPでは、薬機法・健康増進法、景品表示法、特定商取引法を横断して確認する必要があります。

まとめ

特定商取引法に基づく表記は、通販事業者の会社情報を形式的に掲載するためのページではありません。消費者が契約前に、販売者、価格、送料、支払条件、返品・解約条件などを確認するための重要な表示です。

実務で見るべきポイントは、次の3つです。

第1に、商材と契約形態に合った必要事項が記載されているか。
第2に、LP、商品ページ、特商法表記ページ、カート、最終確認画面の内容が一致しているか。
第3に、消費者が申込みを確定する前に、契約全体を容易に理解し、必要に応じて訂正できるかです。

特に定期購入やサブスクでは、初回価格だけでなく、2回目以降の価格、送料、購入回数、総額、継続条件、解約方法までを一つの契約として確認する必要があります。

特商法への対応は、テンプレートの項目を埋めることだけでは完了しません。販売方法、広告全体の印象、カートの仕様、実際の解約運用などを含めた総合的な確認が必要です。個別案件では、消費者庁の資料、最新の法令・ガイドライン、弁護士・専門家・社内法務等による確認を行ってください。

なお、特定商取引法を体系的に知りたい方は「特定商取引法の広告実務ガイド 」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

「特定商取引法に基づく表記とは?」という見出しの横に、特商法表記を中心として、LP、商品ページ、カート、最終確認画面を線でつないだ図解。下部では、価格・送料・事業者情報などの必要項目、購入導線全体での照合、定期購入における継続価格・総額・解約方法の明示という3つの確認ポイントを示している。

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