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化粧品広告の薬機法チェック入門|制作会社が知るべきOK表現・NGになりやすい表現

化粧品広告を制作していると、「シミが消える」「ニキビが治る」「シワを改善する」といった強い訴求を依頼主から求められることがあります。薬事チェックで表現を削った結果、「何も言えない広告になってしまった」と感じた経験がある方もいるのではないでしょうか?

化粧品は広告で効果を一切表現できないわけではありません。一般化粧品では、厚生労働省通知で示された効能効果の範囲を基準に、商品に該当する効能を表現できます。

一方、一般化粧品で、疾病の治療、身体の構造・機能の変化、肌そのものの再生など、認められた効能効果の範囲を超える効果を約束する表現には注意が必要です。「改善」という言葉も一律に判断せず、商品区分、承認内容、対象部位、前後の文脈を確認します。また、口コミや画像を組み合わせ、効能範囲を超える変化を印象づける広告にも注意が必要です。

また、薬機法上の効能表現の範囲に収まっていても、表示内容に対応する客観的根拠がないNo.1表示、満足度表示、比較表示などは、景品表示法上の不当表示に該当する可能性があります。

この記事では、制作会社さま・広告代理店さま向けに、化粧品広告で使える可能性がある表現、注意が必要な表現、言い換えの方向、公開前のチェックポイントを実務目線で整理します。

この記事の要点(まとめ)
  • 化粧品は効果を一切言えないわけではない:一般化粧品では、厚生労働省通知で示された化粧品の効能効果の範囲を基準に表現できます。ただし、商品に該当する効能であることや、条件付き表現を正確に示すことが前提です。
  • 単語ではなく広告全体の印象で判断する:「うるおい」「ハリ」といった表現でも、シワが消えたような画像や保証的な口コミと組み合わせれば、効能範囲を超えた印象になることがあります。
  • NG表現は一対一で置換せず、訴求軸を再設計する:「シミが消える」を別の曖昧な言葉に置き換えるのではなく、うるおい、肌印象、メイク効果、使用感、生活シーンなど、化粧品として伝えられる価値へ軸を移すことが大切です。
目次

化粧品広告では効果をうたってはいけないのか?

化粧品は、広告で効果を一切うたってはいけないわけではありません。一般化粧品では、認められた効能効果の範囲内で、商品に該当する内容を表現できます。

厚生労働省の通知では、化粧品の効能の範囲として56項目が示されています。「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」「肌にはりを与える」「毛髪につやを与える」などは、その代表例です。56番目には「乾燥による小ジワを目立たなくする」があります。

ただし、「56項目にある言葉だから、そのままどの商品にも使える」という意味ではありません。商品分類、使用方法、商品特性、評価資料などを踏まえ、その商品について表現できる内容かを確認する必要があります。

最初に一般化粧品か医薬部外品かを確認する

広告表現を考える前に、まず商品区分を確認します。

一般化粧品と、いわゆる薬用化粧品である医薬部外品では、広告できる効能の考え方が異なるからです。

一般化粧品は、原則として化粧品の効能効果の範囲を基準にします。一方、医薬部外品は、製品ごとに取得している承認内容の確認が必要です。同じシリーズの商品でも、一般化粧品と医薬部外品が混在しているケースがあります。

たとえば、一般化粧品で「シワを改善する」と訴求することと、シワ改善の効能で承認された医薬部外品の広告で、承認範囲内の表現を用いることは、同じ扱いではありません。

制作会社さまは、依頼主から商品名と成分表だけを受け取って制作を始めるのではなく、少なくとも次の資料を確認したいところです。

確認資料主な確認内容
商品区分一般化粧品か医薬部外品か
販売名・商品資料広告対象の商品を正しく特定できるか
医薬部外品の承認内容承認された効能効果、有効成分、用法等
試験・調査資料表示内容と試験結果が対応しているか
パッケージ・商品説明書広告との整合性が取れているか

詳しくは「薬用化粧品とは?一般化粧品との違い・効能効果・広告表現をわかりやすく解説」をご覧ください。

使える表現は56項目の範囲を基準にする

厚生労働省の「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」でも、化粧品として広告できる効能効果は、通知に掲げられた範囲とされています。

代表的な表現には、次のようなものがあります。

  • 肌を整える
  • 肌のキメを整える
  • 皮膚をすこやかに保つ
  • 肌荒れを防ぐ
  • 皮膚にうるおいを与える
  • 肌にはりを与える
  • 肌にツヤを与える
  • 肌を滑らかにする
  • 毛髪にはり、こしを与える
  • 毛髪につやを与える
  • クシどおりをよくする

ただし、条件付きの効能は条件部分を省略できません。

たとえば、「ニキビを防ぐ」は、通知上「洗浄によりニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)」という限定があります。「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」という効能も、紫外線防止を目的とする商品など、当該商品の類別、使用目的、使用方法および商品実態との整合を確認したうえで用います。すでにできたシミを除去、改善または薄くするという意味へ拡張することはできません。

一般化粧品で認められる効能効果を一覧で確認したい方は、「化粧品で認められる56項目の効能効果とは?」で、部位・用途別に詳しく整理しています。 

「乾燥による小ジワ」は単に注釈を付ければよいわけではない

一般化粧品でも「乾燥による小ジワを目立たなくする」と表現できる場合があります。この表示は、定められた評価ガイドラインに基づく試験等を行い、効果を確認した製品に限られる表現です。また、日本化粧品工業会の自主基準では、製品に表示する場合は「※効能評価試験済み」と表記する取扱いが示されています。

「小ジワを目立たなくする」と大きく表示し、離れた場所に小さく「乾燥による」と書く方法は適切とは限りません。条件部分と主表示が一体として認識できるように設計する必要があります。厚生労働省の取扱いでも、小ジワの解消・予防や若返り効果への拡張は認められないと整理されています。

一般化粧品、薬用化粧品、ハリ表現の違いは、「化粧品広告で『シワ改善』は使える?」で具体的に整理しています。 

治療・改善・再生の印象には注意する

一般化粧品で特に注意したいのが、身体の構造や機能を変化させるような印象です。

「ニキビを治す」「シミを除去する」「細胞を活性化する」「肌を再生する」「たるみを改善する」といった表現は、化粧品の範囲を超える医薬品的な効能を印象づけやすくなります。

ここで大切なのは、文章だけを確認しないことです。

たとえば、本文には「肌にうるおいを与える」としか書いていなくても、ファーストビューに深いシワが消えたような写真を掲載し、「もう年齢を感じさせない」と重ねれば、広告全体ではシワ改善や若返りを約束しているように見える可能性があります。

基本判断軸確認する内容
商品分類一般化粧品か医薬部外品か
効能範囲56項目または承認範囲に該当するか
条件表現「洗浄により」「乾燥による」などを省略していないか
表現の強さ治療・改善・再生・若返りの印象がないか
広告全体画像、口コミ、見出し、注釈を含めて何を約束しているか
根拠表示内容と根拠資料が対応しているか

薬機法で「改善」を謳う場合の注意点は「薬機法で「改善」は使える?症状・肌・睡眠・使用感で判断が変わる理由」で具体的にまとめています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
化粧品広告でよくある誤解が、「化粧品は効果を言ってはいけない」というものです。実際には、化粧品として認められた範囲であれば表現を検討できます。ただし、実務で問題になるのは、その言葉が消費者にどこまでの変化を期待させるかです。
たとえば「うるおいを与える」という言葉でも、深いシワが消えたような写真や「一度で若返った」という体験談と組み合わせれば、広告全体ではシワ改善を約束しているように見えます。
確認すべきなのは単語の一覧ではありません。広告全体が、消費者に何を約束しているように見えるかです。

化粧品広告で使える表現の考え方

化粧品広告の表現設計における4つの視点を整理した図解。上部に「化粧品広告 表現設計の4つの視点」と掲げ、「56項目の範囲で設計」「使用時の体験を伝える」「メイク効果を区別する」「エイジングケアを限定する」の4項目を、書類・化粧品容器・コンパクトミラー・カレンダーの線画アイコンとともに説明している。下部には「事実・処方・商品設計・根拠との整合性を確認」とまとめられ、右下に薬機法ライティングのロゴが配置されている。

化粧品広告で使いやすいのは、認められた効能効果、事実に基づく使用感、香り、テクスチャー、メイク効果、生活シーンを伝える表現です。

「効果を弱く書く」のではなく、「化粧品として提供できる価値を具体的にする」と考えると、表現を設計しやすくなります。

56項目の範囲内で、商品の価値を具体化する

たとえば、保湿化粧品で「肌を改善する」と書く代わりに、次のような方向が考えられます。

  • 乾燥しやすい肌にうるおいを与える
  • 肌の水分・油分を補い保つ
  • うるおいを保ち、肌をすこやかに整える
  • なめらかな肌へ整える
  • 肌荒れを防ぐ

ただし、言葉が56項目に含まれていても、商品実態と合わなければ使用できるとは限りません。「肌荒れを防ぐ」「肌をひきしめる」などを採用する場合も、処方や商品設計との整合性を確認します。

使用感・香り・テクスチャーを具体的に伝える

効能効果を直接訴求しにくいときは、使用時に消費者が体験できる特徴へ視点を移します。

たとえば、次のような表現です。

  • みずみずしく広がるテクスチャー
  • べたつきにくく、朝のスキンケアにも使いやすい
  • 肌になじませやすいジェルタイプ
  • やさしく広がるフローラルの香り
  • 忙しい夜でも続けやすいワンステップケア

これらも事実であることが前提です。「べたつかない」「一瞬でなじむ」といった表現が、実際の使用感や根拠資料と一致しているかを確認します。

日本化粧品工業会のガイドラインでは、使用体験談について、使用方法、使用感、香りのイメージ等の範囲で、事実に基づく自発的な感想を示す考え方が整理されています。

詳しくは「化粧品の薬機法ライティング®|56効能の範囲と感情訴求の設計」もご覧ください。

メイク効果とスキンケア効果を区別する

化粧品による色彩効果や物理的なカバー効果は、事実の範囲で表現できる場合があります。

たとえば、ファンデーションによって「シミをカバーする」「毛穴を目立ちにくく見せる」と表現することと、スキンケアによって「シミが消える」「毛穴がなくなる」と表現することは異なります。

メイク効果を訴求する場合は、次の点を明確にします。

  • 塗布中の一時的な見た目の効果であること
  • 素肌そのものが改善したと誤認させないこと
  • 写真の加工や撮影条件を含め、表示が事実に基づくこと
  • カバー効果の根拠を保持していること

日本化粧品工業会のガイドラインでも、メイク効果や物理的効果は、事実であり、虚偽・誇大・誤認に該当しないことが前提とされています。

エイジングケアは若返りを意味しない

「エイジングケア」は、一般化粧品でも使われる表現ですが、若返りや老化防止を意味するものではありません。

実務上は「年齢に応じた化粧品等によるお手入れ」という意味に限定し、認められた効能効果の範囲内で使います。

たとえば「年齢を重ねた肌にうるおいを与えるエイジングケア」は検討しやすい一方、「肌年齢を巻き戻す」「老化を止める」「たるみを改善するエイジングケア」は、化粧品の範囲を超える印象になりやすい表現です。

なお、年齢サインで使われやすいワードについては「化粧品広告で「ほうれい線」は使える?」で具体的に解説しています。 

化粧品広告で使えない・注意が必要な表現例

一般化粧品広告で注意したい表現を整理した図解。上部に「可否は単語だけでなく、広告全体の印象で確認」と示し、「治療・改善を約束」「身体変化を印象づける」「確実性・即効性を保証」の3分類を紹介している。下部には、商品区分、文脈、画像、注釈、根拠資料の5つの確認ポイントを並べ、薬機法と景品表示法を横断して広告全体を確認する重要性を伝えている。

【】

一般化粧品では、疾病の治療や身体の変化を約束する表現、若返り・再生を印象づける表現、確実性や即効性を保証する表現に注意が必要です。

ただし、表現の可否は単語だけでは決まりません。商品区分、文脈、画像、注釈、根拠資料を含めて判断します。

治療・改善を約束する表現

次のような表現は、一般化粧品の広告では医薬品的な印象につながりやすくなります。

  • ニキビが治る
  • 肌トラブルを治療する
  • 炎症を鎮める
  • アトピー肌を改善する
  • 色素沈着を除去する
  • 皮膚組織を修復する

特に「治る」「治療」「完治」「根本改善」は、疾病への効果や身体機能への作用を直接印象づけます。

「ニキビ」という言葉がすべて使えないわけではありませんが、一般化粧品で通知上示されているのは、洗顔料についての「洗浄によりニキビを防ぐ」という限定的な表現です。商品分類や使用方法を確認せず、「ニキビを防ぐ」だけを切り出さないようにします。

シミ・シワ・たるみ・ほうれい線表現

よく相談される表現を整理すると、次のようになります。

注意したい表現主なリスクリライトの方向
シミが消える除去・改善の印象メイクによるカバー、日やけ対策、メーキャップ効果により肌を明るく見せる
ニキビが治る治療表現洗顔料では、商品との整合性を確認したうえで「洗浄によりニキビを防ぐ」
シワを改善する一般化粧品の範囲超過乾燥小ジワ、うるおい、ハリ感
ほうれい線を消す身体変化・改善の印象メイク効果、うるおい、なめらかな肌印象
たるみを引き上げるリフトアップ・構造変化肌をひきしめる、ハリを与える
毛穴をなくす構造変化・完全性汚れを落とす、メイクでカバーする
肌を再生する生理機能・組織変化肌をすこやかに保つ、整える
細胞を活性化する細胞機能への作用配合目的を確認し再設計

「シワ改善」はすべての化粧品で一律に使えないのではなく、承認された医薬部外品では承認範囲内で検討します。一般化粧品の「乾燥による小ジワを目立たなくする」と混同しないことが大切です。

具体的な線引きは「化粧品広告で『シミが消える』は使える?」「化粧品広告で『シワ改善』は使える?」でまとめています。 

即効性・完全性・保証表現

「効能範囲内の言葉だから、強く言ってもよい」というわけではありません。

次のような表現は、効果の保証や最大級・誇大な印象を与えやすくなります。

  • 一度で必ず実感
  • たった3分で完全に変わる
  • どんな肌にも効果抜群
  • 100%肌トラブルを防ぐ
  • 絶対に荒れない
  • 最高の保湿力
  • 効き目No.1

薬機法第66条は、化粧品を含む医薬品等の効能、効果、性能について、明示・暗示を問わず虚偽・誇大な広告を規制しています。また、医師その他の者が効果を保証したと誤解される広告も対象になります。

詳しくは「薬機法で「安全」「副作用なし」は使える?」でまとめています。

「実感」という言葉も文脈で判断する

「実感」は、それだけで常に違反となる単語ではありません。しかし、効能効果を確実に得られるように強調すると、保証表現と評価されやすくなります。

たとえば、次のような表現です。

  • シワ改善を実感
  • 使った瞬間、美白効果を実感
  • 誰もがうるおいを実感
  • 1回でハリを実感

日本化粧品工業会のガイドラインでは、「実感」をキャッチコピー等で強調しないこと、効能効果や安全性の保証的な実感表現を行わないことが示されています。

実務では、「実感」を別の言葉に置き換えるだけでなく、何を伝えたいのかを分解します。使用感を伝えたいなら「みずみずしい使い心地」、継続しやすさを伝えたいなら「毎日のケアに取り入れやすい」など、事実に沿って具体化します。

化粧品の誇大広告とは?薬機法と景品表示法の両面で確認する

化粧品の誇大広告を確認するときは、薬機法上の効能範囲だけでなく、景品表示法上の誤認と根拠資料も確認する必要があります。

薬機法に配慮した表現であっても、実際以上に優れた商品であると消費者に認識させる表示であれば、別の問題が生じる可能性があります。

薬機法上の誇大広告

薬機法では、化粧品の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示的か暗示的かを問わず、虚偽・誇大な広告等を行うことが禁止されています。

つまり、次のような広告要素も確認対象です。

  • 見出しや本文
  • 商品名、愛称
  • 写真、イラスト、グラフ
  • ビフォーアフター
  • 口コミ、体験談
  • 専門家コメント
  • ナレーション、効果音
  • 注釈の位置や大きさ
  • LP(ランディングページ)全体のストーリー

本文に直接「シワが消える」と書いていなくても、画像と口コミを組み合わせて同じ印象を与えていれば、文字だけを修正しても問題が解消しないことがあります。

景品表示法上の優良誤認

景品表示法では、商品・サービスの品質、規格その他の内容について、実際より著しく優良であると一般消費者に示す表示などが問題になります。

このうち、商品・サービスの効果や性能に関する表示については、消費者庁が表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求めることがあります。合理的な根拠と認められるためには、資料が客観的に実証された内容であり、表示された効果・性能と資料の内容が適切に対応していることが必要です。

優良誤認については「優良誤認・有利誤認とは?」で詳しくまとめています。

No.1・満足度・比較表示

No.1表示や満足度表示は消費者に強い印象を与えるため、表示内容を裏付ける根拠の確認が重要です。

表示例主な確認事項
売上No.1比較対象、調査期間、対象市場、出典
顧客満足度98%何への満足度か、対象者、質問文、調査方法
美容家がおすすめ推薦者の立場、依頼関係、効能保証の印象
保湿力2倍比較対象、試験条件、評価方法

日本化粧品工業会のガイドラインでは、「効き目No.1」「安全性No.1」などは効能効果・安全性の最大級表現となる一方、売上No.1等については、誤認を与えず、客観的調査を正確に引用し、出典を明らかにすることが求められています。

詳しくは「景品表示法の広告表現ガイド」をご覧ください。 

化粧品広告で使える表現・注意が必要な表現の比較表

次の表は、一般化粧品を前提とした方向性の整理です。個別表現の掲載可否は、商品区分、商品資料、媒体、画像、注釈、広告全体の印象によって変わります。

スキンケア広告の表現例

使える可能性がある方向注意が必要な方向確認ポイント
肌を整える肌質を根本から改善する身体機能の改善になっていないか
皮膚にうるおいを与える肌の水分量を永久に高める持続性・永久性を保証していないか
肌にはりを与えるたるみを引き上げるリフトアップの印象がないか
肌を滑らかにする凹凸肌を治す治療・構造変化になっていないか
肌荒れを防ぐ炎症を治療する疾病治療の表現になっていないか
日やけによるシミ・ソバカスを防ぐできたシミを消す予防と除去を混同していないか

ヘアケア広告の表現例

使える可能性がある方向注意が必要な方向確認ポイント
毛髪にはり、こしを与える髪を生やす育毛・発毛の印象がないか
毛髪につやを与える毛根を活性化する生理機能への作用をうたっていないか
クシどおりをよくする枝毛を完全に治す物理的補修と治療的回復を混同していないか
毛髪をしなやかにするバージンヘアに再生する再生・回復の保証になっていないか

エイジングケア広告の表現例

使える可能性がある方向注意が必要な方向
年齢に応じたうるおいケア肌年齢を巻き戻す
年齢を重ねた肌にハリを与える老化を止める
うるおいに満ちた肌へ整える若返りを実現する
乾燥による小ジワを目立たなくする※条件確認深いシワまで消す

メイク効果・肌印象の表現例

使える可能性がある方向注意が必要な方向
メイク効果でシミをカバーシミそのものを除去
光の反射で明るい肌印象に見せるメラニンを消して肌を白くする
毛穴を目立ちにくく見せる毛穴をなくす
肌色を均一に見せる肌質を根本改善する

なお、EC商品ページでは、商品名、商品画像、レビュー、ランキング、価格表示まで確認対象になります。具体的な確認方法は「化粧品ECページの薬機法チェック」で詳しく解説しています。 

口コミ・体験談・ビフォーアフターでも注意が必要

化粧品広告では、企業さまが作成したコピーだけでなく、広告内に掲載する口コミ、体験談、写真も広告表示の一部として確認します。

「お客様が言ったことだから、そのまま掲載できる」とは限りません。

口コミでも効能効果を超える表現は注意

たとえば、次のような口コミをLPに掲載すると、一般化粧品の効能範囲を超える印象になりやすくなります。

  • シミが薄くなりました
  • 目元のシワが消えました
  • ニキビが治りました
  • たるみが引き上がりました
  • 肌質が完全に変わりました

「個人の感想です」「効果には個人差があります」と注釈を付けても、元の表示が効能範囲を超えていれば、注釈だけで問題が解消されるわけではありません。

日本化粧品工業会のガイドラインでも、効能効果や安全性についての体験談は認められない範囲とされ、「個人の感想です」という説明文によって元の表現を救済するものではないと整理されています。

体験談を使用する場合は、次のような使用感を中心に設計します。

  • しっとりした使い心地が好みです
  • みずみずしく伸びて使いやすいです
  • さっぱりした感触で朝も使いやすいです
  • 香りが好みに合っています

口コミ、InstagramのPR投稿、ビフォーアフター画像の扱いについては、「化粧品の口コミは薬機法違反になる?インスタPR投稿・ビフォーアフター画像の注意点」もご確認ください。 また具体的なチェック方法は「化粧品LPの薬機法チェック」で詳しく解説しています。 

ビフォーアフターは一律禁止ではないが、見せ方が重要

使用前後の写真がすべて禁止されているわけではありません。

染毛による色の変化、洗浄による汚れ落ち、メイクによるカバー効果など、商品に認められた範囲や事実に基づく変化を適切に示せる場合があります。

一方で、写真によって承認外・効能範囲外の効果を想起させたり、効果を保証したりする表現は注意が必要です。

厚生労働省のQ&Aでも、良い印象と悪い印象の写真を並べ、製品効果と結びつける表示は、使用前後写真かどうかだけでなく、保証表現や承認範囲との関係から判断するとされています。

確認したいのは、次の点です。

  • 撮影条件、照明、角度、表情が統一されているか
  • 画像加工の有無を確認しているか
  • メイク効果と素肌変化を混同させていないか
  • 一時的な効果を恒常的な改善のように見せていないか
  • 写真が代表的な結果であるかのように保証していないか

なお、照明、角度、表情等の撮影条件を統一していることは、写真表示の正確性を確認する要素の一つにすぎません。撮影条件が適切であっても、写真が一般化粧品の効能範囲を超える変化、効果の確実性、恒常的な改善などを示している場合は、問題が解消されるわけではありません。

SNS・インフルエンサー投稿はステマ規制も確認する

企業さまが投稿内容の決定に関与したインフルエンサー投稿では、商品提供や報酬の有無なども踏まえ、広告であることが一般消費者に明瞭に分かる表示が必要かを確認します。

さらに、その投稿を自社LPに転載すれば、LPの広告表現として効能効果や保証表現も確認する必要があります。

したがって、SNS投稿では次の二段階で確認します。

  1. 広告であることが明瞭に示されているか
  2. 投稿内容が化粧品として表現できる範囲に収まっているか

インフルエンサー投稿や商品提供、PR表示については、薬機法とは別に「ステルスマーケティング規制」もご覧ください。 薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方について知りたい方は、「薬機法ライティングとは?」で詳しく解説しています。

薬事チェックでNGになった表現はどう言い換えるか

NG表現を修正するときは、危険な単語を一対一で置き換えるのではなく、広告が約束する価値そのものを再設計します。

たとえば「シワ改善」を「ハリ実感」に置き換えても、写真やストーリーがシワ改善を約束したままなら、広告全体の印象は大きく変わりません。

まず「何を売りたいのか」を分解する

「シミが消える」と言いたい背景には、次のような複数の価値が含まれている可能性があります。

  • ファンデーションでシミをカバーできる
  • 日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ
  • うるおいにより明るい印象に見える
  • 肌色を均一に見せる
  • 毎日の紫外線対策を続けやすい

このうち、商品が実際に提供でき、広告で表現できる価値を選びます。

ファーストビューからストーリーを組み直す

強い効能を中心に作ったLPでは、本文中の単語だけを変更すると、コピーと画像、悩み訴求、根拠説明、CTA(行動の指示)がばらばらになりがちです。

たとえば「シワ改善」を中心にしたLPを一般化粧品向けに修正する場合、次のようにストーリー全体を変えます。

修正前の訴求再設計後の訴求例
深いシワを改善乾燥しやすい目元にうるおいを与える
年齢肌を若返らせる年齢に応じたうるおいケア
真皮に働きかける角質層までうるおいを届ける※商品特性や根拠資料との整合性を確認
一度でシワが消えるなめらかでハリのある肌印象へ
医師も効果を認定開発・監修の事実と範囲を限定して説明

化粧品広告で重要なのは、言えない単語を削ることではありません。化粧品として伝えられる価値に基づき、見出し、画像、根拠、口コミ、CTAまで一貫させることです。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬事チェックでNGが出たとき、最も避けたいのは「危ない単語だけを弱い言葉に置き換える」修正です。ファーストビューからCTAまで「シワ改善」を中心に組み立てたLPで、シワ改善だけを「ハリ感」に変えても、広告のストーリーが崩れてしまいます。
こうしたケースでは、商品の価値、ターゲットの悩み、使用シーン、根拠資料まで戻り、訴求軸を組み直した方が結果的に伝わりやすくなります。
薬機法対応は、コピーを削る作業ではありません。伝えられる価値を見つけ、広告全体を再構成する作業です。

化粧品広告制作前の薬機法チェックリスト

薬事確認は、LPや広告が完成してから行うより、企画・構成段階で組み込むほうが大幅な手戻りを防ぎやすくなります。

制作前またはワイヤーフレーム段階で、次の項目を確認してください。

商品・資料

  • 一般化粧品か医薬部外品か確認した
  • 広告対象の販売名を特定した
  • 医薬部外品は承認内容を確認した
  • 訴求する効能と商品資料が整合している
  • 試験結果が広告表示と適切に対応している
  • 成分の配合目的を確認した

コピー

  • 56項目または承認範囲を超える表現がない
  • 「乾燥による」「洗浄により」等の条件を省略していない
  • 治療、改善、再生、若返りを約束していない
  • 即効、完全、絶対、最高等の保証表現がない
  • 使用感と効能効果を混同していない
  • メイク効果と素肌そのものの変化を区別している

画像・体験談

  • 写真だけで効能範囲外の変化を印象づけていない
  • ビフォーアフターの撮影条件を確認した
  • 口コミが効能効果を保証していない
  • 「個人の感想です」で救済しようとしていない
  • インフルエンサー投稿の依頼関係とPR表示を確認した

景品表示法・媒体審査

  • No.1、比較表示の調査資料がある
  • 調査対象、期間、質問内容、比較範囲が表示と一致している
  • グラフや数値を都合よく切り取っていない
  • 媒体独自の審査基準を確認した
  • 注釈が読める大きさ・位置・表示時間になっている

なお、美顔器や美容ローラーなどを化粧品とセットで訴求する場合、化粧品の広告ルールをそのまま機器側へ適用することはできません。機器の位置づけが不明な場合は、「医療機器該当性で迷ったら」もご覧ください。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
40,000件以上の広告表現支援を行う中で、大幅な手戻りが起きやすいのは、LP完成後に初めて薬事確認を行うケースです。ファーストビュー、悩み訴求、画像、口コミまで完成した後に、中心となる効能訴求が使えないと分かれば、文言修正だけでは対応できません。
構成案やワイヤーフレームの段階で「何を中心に売るか」「その訴求は商品区分と整合するか」を確認すれば、後戻りを減らせます。制作会社にとっては、クライアントへの説明材料を早い段階で用意できる点も大きなメリットです。

よくあるご相談(FAQ)

化粧品は広告で効果をうたってはいけないのですか?

化粧品は効果を一切表現できないわけではありません。一般化粧品では、厚生労働省通知で示された56項目の効能効果を基準に、商品類別、使用方法、商品実態、根拠資料との整合を確認し表現できます。

ただし、治療、改善、再生などの医薬品的な効果や、確実な変化を保証する表現には注意が必要です。医薬部外品では、製品ごとの承認内容を別途確認します。

化粧品広告で「シワ改善」は使えますか?

一般化粧品で単に「シワ改善」と表示すると、認められた範囲を超える可能性があります。一般化粧品では、所定の評価試験等により効果が確認された製品について「乾燥による小ジワを目立たなくする」と表現できる場合があります。一方、シワ改善の効能で承認された医薬部外品は、承認範囲内での表現を検討します。

化粧品広告で「シミが消える」は使えますか?

一般化粧品で「シミが消える」と表示すると、既にあるシミの除去・改善を約束する印象になるため注意が必要です。日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ表現、メイク効果でシミをカバーする表現など、商品が実際に提供できる価値へ訴求軸を変えます。医薬部外品の美白表現も、承認内容と定められた意味の範囲を確認します。

化粧品広告で「ニキビを防ぐ」は使えますか?

一般化粧品では、洗顔料について「洗浄によりニキビを防ぐ」という限定的な効能が示されています。「洗浄により」という条件や対象商品を無視し、「ニキビを防ぐ」だけを一般化すると適切でない場合があります。「ニキビを治す」「炎症を鎮める」などの治療表現とは明確に区別してください。

「個人の感想です」と書けば効果の口コミを掲載できますか?

「個人の感想です」という注釈だけで、効能範囲を超える口コミが掲載可能になるわけではありません。「シワが消えた」「ニキビが治った」などの体験談を広告に掲載すれば、広告全体で効果を保証する印象になる可能性があります。化粧品の体験談は、使用方法、香り、テクスチャー、使い心地などを中心に設計します。

ビフォーアフター画像は化粧品広告では禁止ですか?

ビフォーアフター画像が一律に禁止されているわけではありません。染毛、洗浄、メイクによるカバーなど、商品に認められた範囲の事実を適切に示せる場合があります。ただし、承認外・効能範囲外の変化を想起させる画像や、効果を保証する見せ方には注意が必要です。撮影条件や加工の有無も確認します。

医師監修・専門家推薦の表現は使えますか?

「医師監修」という事実表示と、「医師が商品の効果を保証・推薦している」という表示は分けて考える必要があります。監修を表示する場合は、監修者、監修範囲、実際に行った内容を明確にし、商品の効能や安全性を保証したように見せないことが重要です。医薬関係者等による推薦表現には、広告基準上の制限もあります。

薬事チェックでNGになった表現は、どう言い換えればよいですか?

単語を安全そうな言葉に置き換えるだけでは、広告の訴求が弱くなったり、画像やストーリーとの不整合が残ったりします。効能を直接約束する表現から、うるおい、肌を整える、使用感、メイク効果、生活シーンなどへ訴求軸を移します。ファーストビュー、本文、画像、口コミ、CTAを一体として再設計することが大切です。

まとめ|化粧品広告は「言える範囲」と「伝え方」の両方を設計する

化粧品は、広告で効果を一切表現できないわけではありません。一般化粧品では、厚生労働省通知で示された56項目の効能効果を基準に、商品に該当する内容を表現できます。

一方で、「シミが消える」「ニキビが治る」「肌が再生する」など、治療・改善・身体変化を約束する表現には注意が必要です。「乾燥による小ジワ」「洗浄によりニキビを防ぐ」のように条件がある効能は、その条件を正確に示さなければなりません。

また、確認対象は本文コピーだけではありません。写真、口コミ、ビフォーアフター、専門家コメント、No.1表示、注釈まで含め、広告全体が消費者に何を約束しているように見えるかを確認します。

薬事チェックで表現が問題になったときは、NGワードを別の単語へ置き換えるだけで終わらせないことが大切です。商品が実際に提供できる価値へ戻り、うるおい、肌印象、メイク効果、使用感、生活シーンなどから訴求軸を再設計します。

個別案件では、商品区分、承認内容、根拠資料、媒体基準、広告全体の構成によって判断が変わります。特に強い効能を中心にしたLPでは、制作後ではなく企画・構成段階で確認する方が、大幅な手戻りを防ぎやすくなります。

なお、化粧品広告の体系化について詳しく知りたい方は「化粧品広告の薬機法ガイド」をご覧ください。また、化粧品LPのファーストビュー、効能表現、口コミ、画像、No.1表示までまとめて確認したい場合は、広告全体を対象とした「薬機法・景品表示法など広告規制の総合ガイド 」をご活用ください。単語の可否だけでなく、広告全体が与える印象と修正の方向を整理します。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

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