化粧品のLP(ランディングページ)で「シワ改善」と書きたい。一般化粧品でもエビデンスがあれば使えるのでしょうか。結論は使えません。
一般化粧品で「シワ改善」を効能として標ぼうするのはNGです。 一方、「乾燥による小ジワを目立たなくする」は条件付きで使え、「肌にはりを与える」も認められた効能範囲です。薬用化粧品は、シワ改善の効能を個別に承認された製品なら「シワ改善」を広告できます。
本記事では、この3つを混同しないための判断軸を整理します。
一般化粧品の「シワ改善」はNG、乾燥小ジワとハリは別です
一般化粧品では「シワ改善」は使えません。厚生労働省が示す化粧品の効能範囲には「肌にはりを与える」と「乾燥による小ジワを目立たなくする」はありますが、「シワを改善する」はありません。「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、所定の試験等で効果を確認した製品に限って標ぼうできます。
薬用化粧品は医薬部外品です。「シワ改善」の承認を受けた製品は、その承認範囲で広告ができます。逆に、単に「薬用」と付いているだけでは「シワ改善」は使えません。なお、シワ改善の個別承認がない薬用化粧品でも、所定の条件を満たせば「乾燥による小ジワを目立たなくする」は使用できます。 区分の基本は、化粧品と医薬部外品の違いも確認してください。
一般化粧品で「シワ改善」が薬機法上NGになる理由
一般化粧品で「シワ改善」と書けない理由は、薬機法上の効能効果の範囲を超えるためです。医薬品等適正広告基準の解説では、承認を要しない化粧品の効能効果は、厚生労働省通知で定められた範囲を超えてはならないとされています。
薬機法66条は化粧品の効能効果に関する虚偽・誇大広告を規制しており、広告基準・通知に沿って表現範囲を確認します。
「乾燥による」を小さな注釈で表現すればいい、という話でもありません。2026年7月24日公表の日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」では、「小ジワ*を目立たなくします。*乾燥によるもの」という見せ方を、認められない具体例として示しています。 化粧品で認められる56項目の効能効果を基準に、キャッチコピーと注釈をセットで確認します。
景品表示法は別の判断です。薬機法上の効能範囲内でも、効果・性能を実際より著しく優良に見せれば優良誤認表示の問題になります。不実証広告規制では、表示の根拠は客観的に実証された内容であり、表示内容と適切に対応していることが求められます。薬機法上「言える範囲」と、景品表示法上「その言い方を裏付けられるか」は分けて確認する必要があります。
事例1|一般化粧品LPの「年齢肌のシワ改善」は使えない

一般化粧品のLPで「これで年齢肌のシワ改善ができる!」というメインコピーを置き、本文もシワ改善を軸に設計する表現はNGです。一般化粧品の効能範囲には「シワ改善」がないためです。単語だけ直しても、画像や説明文を含むLP全体がシワ改善を伝えていれば解決しません。
修正するなら商品事実へ戻します。効能評価試験を行い条件を満たす製品なら「乾燥による小ジワを目立たなくする」へ。そうでなければ「肌にはりを与える」「うるおいを与える」など、認められた効能や使用感へ訴求軸を移します。 「シワ改善」を「年齢サインケア」に置き換えるだけで、実質的に同じ効果を広告全体で暗示しているなら修正になりません。
「改善」という表現は、何を改善すると伝えるのか、どの商品区分で使うのかによって判断が変わります。化粧品以外も含めた考え方は「薬機法で『改善』は使える?症状・肌・睡眠・使用感で判断が変わる理由」もご覧ください。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
シワ訴求は、完成したLPを薬事チェックに回す段階で初めて確認すると手戻りが大きくなります。一般化粧品なのか、乾燥小ジワの効能評価まで行うのか、シワ改善承認のある医薬部外品なのかで、企画の入口から使えるストーリーが変わるからです。キャッチコピーの前に商品区分と根拠資料を確認した方が、訴求を残しやすくなります。
事例2|「乾燥による小ジワを目立たなくする」は条件付きで使える


たとえば一般化粧品の美容液で、日本香粧品学会の抗シワ製品評価ガイドラインに基づく試験または同等以上の適切な試験を行い、製品として効果を確認しているケースです。この場合、「乾燥による小ジワを目立たなくする」は使えます。厚生労働省の広告基準解説でも、この効能は試験等による効果確認を条件としています。
一方、「小ジワを解消」「小ジワを予防」「若返り」「老化防止」はNGです。乾燥小ジワを目立たなくするという限定的な効能から、シワそのものの解消や加齢変化の防止へ広げているためです。
また、日本化粧品工業会の自主基準では、製品にこの効能を表示する場合、「※効能評価試験済み」を対応関係が分かる位置に記載し、その表示自体を大きな文字や色変更などで強調しない運用が示されています。
事例3|薬用化粧品でも「シワ改善」は承認製品だけ


「薬用美容液だからシワ改善と言える」という理解は誤りです。薬用化粧品で「シワ改善」が使えるのは、その効能を個別に承認された製品です。日本化粧品工業会も、シワ改善の承認を受けた医薬部外品について、承認を受けた効能効果どおりに記載するよう示しています。 薬用化粧品で「シワ改善」は使える?では、承認範囲の読み方をさらに詳しくまとめています。
承認品でも表現は無制限ではありません。「深いシワまで改善」や、シワ改善から「若返り」「加齢防止」へ広げる表現は使えません。また、シワグレードや効能評価試験を前面に出して効果を保証する見せ方も不可とされています。作用機序を説明する場合も、日本化粧品工業会の留意点では、承認申請書等の正確な情報を確認し、承認申請資料に記載された範囲を超えないよう示されています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作側で見落としやすいのは、「シワ改善」という単語を承認品だから使える、とだけ覚えてしまうことです。実務では、その前後の言葉で効能を拡大していないかまで見ます。「深い」「根本から」「若返る」と足せば、承認されたシワ改善とは別の訴求になります。強い表現ほど、根拠資料と広告全体をセットで確認することが大切です。
実務では「シワ」を言い換える前に商品区分と訴求軸を確認する
修正の順番は、NGワード探しではありません。最初に一般化粧品か薬用化粧品かを確認し、次に一般化粧品なら乾燥小ジワの効能評価試験、薬用化粧品ならシワ改善の承認効能を確認します。
一般化粧品でシワ改善を言えないなら、「肌にはりを与える」「うるおいを与える」「肌のキメを整える」へ軸を移せます。これらは化粧品の効能範囲に含まれています。 ただし、「真皮の弾力を回復する」「コラーゲンを増やしてシワの原因を改善する」など、56項目を超える身体作用へ広げてはいけません。化粧品表現の言い換えの考え方も、単語置換ではなく訴求軸を変える前提で使います。
まとめ
一般化粧品の「シワ改善」はNGです。 「乾燥による小ジワを目立たなくする」は所定の試験等で効果を確認した製品に限って使え、「肌にはりを与える」は一般化粧品で認められた効能範囲です。
薬用化粧品では、シワ改善の効能を個別に承認された製品だけが「シワ改善」を広告できます。 制作前に、商品区分、効能評価試験、承認書・申請資料を確認してください。最初に使える訴求を決めておけば、完成後にコピーだけを弱めるのではなく、広告全体のストーリーを保ったまま設計できます。
化粧品広告について体系的に理解したい方は「化粧品で認められる56項目の効能効果とは?薬機法上の広告表現範囲を制作会社向けに解説」もご覧ください。
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参考情報・引用元
本記事は、関連する法令や公的機関、学会資料、業界ガイドライン等の公式資料に基づき、一般化粧品における「シワ改善」「乾燥小ジワを目立たなくする」「ハリの付与」といった訴求と、シワ改善の効能で個別承認を得た薬用化粧品との差異について、薬機法が定める効能の範囲や効能評価試験、承認内容、さらに景品表示法上の合理的根拠(不当表示防止)の観点から解説しています。
個別の広告表現の妥当性は、製品の区分や各品目の承認情報、評価試験の実施実態、メカニズムや試験データの内容のほか、コピーや画像、注釈を含む広告全体の印象によって判断が分かれます。そのため、実際の運用にあたっては、最新の公的文献や専門家への照会、承認書の内容確認を適宜行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月10日)
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- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」(平成23年7月21日薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7519&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年08月10日)
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- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年08月10日)
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免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



